2021年7月27日火曜日

おもひでの尾羽沢

 




 尾花沢にて清風といふ者を尋ぬ。かれは富める者なれども、志卑しからず。都にもをりをり通ひて、さすがに旅の情けをも知りたれば、日ごろとどめて、長途のいたはり、さまざまにもてなしはべる。

 涼しさをわが宿にしてねまるなり

 這ひ出でよ飼屋が下の蟾の声

 眉掃きを俤にして紅粉の花

 蚕飼ひする人は古代の姿かな 曽良

 奥羽山脈を山刀伐峠で越えて最上の庄にでました。そこは尾花沢です。花笠音頭発祥の地。

芭蕉は山刀伐峠を越えてたどりつきましたが、私は山形新幹線を大石田駅でおり、駅前から路線バスに乗って、芭蕉・清風歴史資料館を尋ねました。

バスのなかは、若い人がいっぱい。なんとこちらでは芭蕉人気がすごいなぁと関心していたら、かれらは資料館のさきにある銀山温泉まで乗っていってしまいました。

銀山温泉は、『おしん』の舞台になったほか、『千と千尋の神隠し』の湯屋のモデルの一つといわれ、若い人に人気らしい。

鈴木清風は紅花を商う豪商でした。芭蕉も清風宅をよほど気にいったのか、松島でさえ一泊しかしなかったのに、10泊もしています。句もたくさん作りました。

ねまるというのは、腐ることではなく、くつろぐこと。清風宅のもてなしに対する最大級のご挨拶です。

蟾はひき、ヒキガエルのことです。近年、宝満山を登るヒキガエルたちが太宰府市の市民遺産になりました。

紅花の咲く時期に山形をいちど訪れたいと思っています。スタジオジブリのアニメ映画『おもひでぽろぽろ』の舞台となったからです。いまさら自立を考える年でもないですが、一面の紅花畑をまえに、おもひでにひたるのも悪くないでしょう。

最後の写真はなにかわかりますか。葉はクワ、下のほうに写っている虫はカイコ(蚕)です。むかしは絹織物が高級衣服で、養蚕はとても大事な産業でした。が、化学繊維の普及により、なかなか難しい時代になりました。

ちなみに、写真は近年世界遺産となった富岡製糸工場跡で撮ったものです。製糸というのは生糸を製造するという意味です。蚕の繭から糸をつむぎ、よりあわせていく工程はとても神秘的でした。

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