2021年7月2日金曜日

瑞巌寺(2)

 

 『牛島税理士物語』を読みふけることは、新人弁護士にとって急を要し、絶対必要なことだと思いますね(鼻息荒く、まえのめり気味に)。若書きで、読みにくいことは認めますが。さて、

 その後に雲居禅師の徳化によりて、七堂甍改まりて、金壁荘厳光をかかやかし、仏土成就の大伽藍とはなれりける。かの見仏聖の寺はいづくにやと慕はる。

きのうの法身上人の活躍のあと、ふたたび瑞巌寺は廃れてしまいました。江戸時代に入り、伊達の殿様の招きで寺を再興したのが雲居禅師。雄島の磯の段で紹介した人物です。

その徳化により、七堂甍改まりて、金壁荘厳光を輝かし、仏土成就の大伽藍とはなりました。パチパチ。

ふぅ、つかれた(伊達の殿様のてまえ、せいいっぱい、ヨイショしたので)。東大寺の大仏も立派だけれども、そのあとは興福寺の阿修羅にあいたいよね。清水寺、知恩院の大伽藍もいいけど、そのあとは修学院、詩仙堂あたりで息抜きしたいよね。みたいな気分。

こんな気分になった芭蕉が思い浮かべたのは見仏聖。芭蕉の慕う西行ゆかりの人です。別名「月まつしまの聖」。もちろん「月の松島」と「月待つ」がかけられています。

彼の寺はいづくにや。答えは、寺ではなく、妙覚庵という草庵で、場所は雄島です(雄島の磯の段、2つ目の写真)。

聖は12年間まったく島からでないで、毎日法華経を読誦。そして人びとに法華経を授け、法華浄土への往生を説いて死後の不安を解消させました。

六根すでに浄く、能く神物を使役し、霊異すこぶる多し。神物を使役するとは、役行者か陰陽師・安倍晴明のようですね。死者の声を伝達し、空飛ぶ超能力もありました。そこから「空の聖」の別名も。

西行は諸国遍歴中、能登稲津で聖に出会いました。彼は岩窟で帷子のみで端座修行中でした(あれれ、12年間まったく雄島からでないで修行したのではないの?)

聖は「毎月10日ばかりここに必ずくるが、本来住んでいるところは松島である」と言ったそうです。毎月10日を能登で、残りを松島で修行するには、もちろん空を飛んで、県をまたいで行き来するしかありません。

西行はそれを聞いて、感涙にむせびつつ、その場から松島を目指したそうです(西行作とされていた『撰集抄』)。さすが西行、月見るだけで涙する感受性躍如。

このような現実と夢を自在に行き来する感覚と能力、すばらしいですね。トミーももっと修行を積めば、現実と夢を自由に行き来することができるようになることでしょう。さすれば、車中で寝過ごすなどという失態をしでかすことは・・・。

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