2021年12月20日月曜日

『武器よさらば』


 『武器よさらば(A FAREWELL TO ARMS)』(ヘミングウェイ著・高見浩訳・新潮文庫)を読了。『誰がために鐘は鳴る』とおなじく、大学以来2度目の読了である。

『誰がために』はかなり覚えていたのに対し、『武器よ』はあまり記憶になかった。なぜだろう。映画鑑賞をはさんでいるので、記憶の定着度合いに差が出たのだろうか。

以前はロマンスとして読んだ記憶、今回はルポルタージュとして読んだ。新聞記者をしていたという作家のアイデンティティーを考慮してのことだろうか。

こういうと多数の異論をうけそうだけれども、『義経千本桜』とプロットが似ている(以下、ネタバレあり)。アメリカ人なのに、第一次世界大戦中のイタリアにわざわざ加勢する。大ケガをし、病院でキャサリンと運命的な出会いをはたす。

キズが癒えて全線復帰するも、イタリア軍の大規模な撤退に巻き込まれる。あろうことか脱走兵として処刑される直前、からくも窮地を脱する。以後、脱走兵となり、キャサリンとともにイタリアを脱出する。しかし・・・。

人間は敗れるべく運命づけられている。自身の戦争体験、戦争取材体験などに基づくヘミングウェイの哲学である。

「それと、英語の〝Arms”には、もちろん〝腕”という意味もあるから」、本書のタイトルには「愛する人のたおやかな腕に別れを告げる意」もある。(解説)。



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