2023年6月27日火曜日

関西の旅(5)総持寺、勝尾寺、箕面滝

 





 最終日は豊橋周辺にある芭蕉句碑をめぐる予定だった。

ここらあたりから名古屋にかけては芭蕉のお弟子さんがたくさんいた。主だったお弟子さんの家で、芭蕉は句会を催した。いまでいえば、歌舞伎の地方公演、相撲の地方巡業、歌手の全国ツアーのようなものだろうか。

そのため、このあたりには芭蕉の句碑がたくさんある。

 寒けれと二人旅ねそこのもしき 豊橋市湊町・築島弁天社

 道のべの木槿は馬に食われけり 豊橋市小松原町・東観寺

しかし、伊賀上野、伊良湖崎と来て、句碑めぐりにはすこし飽きた。どうしよう?

まず思い浮かんだのは、伊勢物語の八橋伝承地を訪ねること。有名な「東下り」(第九段)で、むかしおとこは東国を旅する。

三河の国、水ゆく川のくもてなれば橋を八渡せるによりて八橋と名のついた場所にて休息。ほとりにはカキツバタが美しく咲いていた。

むかしおとこは、カ・キ・ツ・バ・タという五文字を句頭において旅のこころ、望郷のこころを詠んだ。
 
 から衣きつつなれにしつましあれば はるばる来ぬるたびをしぞ思ふ

古今集では在原業平の歌として紹介されている。ここから伊勢物語の主人公むかしおとこは在原業平であるとされるが、どうだろう?実際には東国を旅したことはないらしい。この案は句碑めぐりと同じ理由でボツに。

次に思い浮かんだのは古戦場めぐり。むかし桶狭間や関ケ原をめぐったことがある。このあたりは古戦場には事欠かない。設楽ヶ原・長篠の古戦場は近そうだ。『どうする家康』で、さいきんやったばかりだ。でも、なんとなくそんな気分ではない。

そういえば、先日、大場敬介先生とお話をしていて、大徳寺聚光院にある千住博氏による障壁画『滝』の話になった。頭のなかでそのイメージが広がった。見たい!・・と思ったが、現在は公開されていないようだ。残念。

などなどと考えたすえ、西国三十三所めぐりの続きをすることにした。観音さまに願い事があったから。訪ねたのは22番総持寺と23番勝尾寺。

総持寺は、京都で在来線に乗り換え、JR総持寺駅(茨木市)で下車。徒歩5分ほど。真言宗。本尊は千手観音さん。パソコンが千住観音と誤表記した。無理もない。

『今昔物語集』にもみえる縁起は、こう。猟師たちに捕らえられた大亀を買い取って助けてやった。その子どもが川に落ちた。観音さまに祈ると、先の亀が子どもを助けた。浦島太郎に似ている。亀は長生きなうえ、義理堅いいきもののようだ。

JR総持寺駅から新大阪駅へ向かい、御堂筋線で千里中央。そこからタクシーで勝尾寺(かつおうじ)へ。

中学社会科の授業で、固い紙を何段も張り合わせて大阪府の地図を作った。いちばん印象に残っているのは京都との境にある男山。その次がこの箕面のあたりである。大阪府は北のほうがヒョウタンの首ようになっている。しかも標高があがっていくので独特の地形になるのだ。

真言宗。本尊は十一面千手観音さま。八面六臂の活躍というが、十一面。しかも千手。庶民の願いに応えるため、仏さまもたいへんだ。

ここは「勝ちダルマ」が有名。大小さまざまなダルマが売られているし、おみくじもダルマみくじである。境内いたるところにダルマが奉納?されている。4つ目の写真は沙羅の木の花であるが、よく見るとダルマの実が2つなっている。

「勝ちダルマ」が名物になったのは、勝尾寺(かつおうじ)の語呂あわせだったのだろう。達磨は禅宗の開祖だから、真言宗とはやや宗派があわない。弘法も語呂の誤りか。

帰りには、箕面大滝に寄った。句碑や寺など人工物もよいが、やはり自然がいちばんである。

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