2023年6月22日木曜日

関西の旅(2)神島

 

(フェリーから神島。左奥に霞んでいるのが伊良湖岬)

 関西の旅、つぎの目的地は伊良湖岬。『笈の小文』の旅で、流刑中の杜国を芭蕉が見舞い、ついでに訪れた。こんかいの旅で一番訪れたかったところ。

伊賀市駅からは伊賀鉄道で伊賀神戸まで。伊賀神戸から近鉄特急に乗り換え、鳥羽まで。鳥羽からフェリーに乗り、伊勢湾・伊良湖水道を横断。フェリーの着岸港が渥美半島の西端にある伊良湖岬。

伊賀神戸の駅舎ではツバメの夫婦が巣作りにはげんでいた。ちかくの田からくわえてきたとおぼしい泥をしきりに駅舎にへばりつけていた。

伊勢はスルー。ぜいたくな旅だ。5年ほどまえに子どもと訪れたので、よかろう。

鳥羽は50年ぶり。小学校の修学旅行で訪れたきり。小学生なのに、真珠養殖の様子を見せていただいた。せっかく教えていただいたが、真珠とは無縁の人生である。

鳥羽~伊良湖崎は地図で見ると近いが、伊勢湾フェリーで所要1時間。船旅はいい。とても旅情をかきたてられる。しかも、

ちょうど中間点に神島(古名、歌島)がある。


と、これだけ読んでピンときた人はそうとうな文学通。

神島は三島由紀夫の小説『潮騒』の舞台である。小学生のときに、文学全集で読んだ。どきどきした。とくに「その火を飛び越して来い」というところ。

以下、ほぼウィキからの受け売りであるが、とても興味深いので、紹介する。

三島は世界旅行をし、古代ギリシア熱が高まった。そして古代ギリシアの恋愛小説「ダフニスとクロエ」のプロットを生かした小説を書くことを構想。

ギリシアの神々ならぬ日本の神々の存在を意識できる場所を探し、伊勢の文化圏である神島を選んだ。三島が参考にした万葉集の歌はこれ。

 潮騒に伊良虞の島辺漕ぐ舟に妹乗るらむか荒き島廻を 柿本人麻呂

持統天皇が伊勢神宮参宮と舟遊びをかねて伊勢に旅した時、都で留守番をした人麻呂がお供の女官を想って詠んだとされる。「伊良虞」は、伊良湖岬もしくは神島のことである。

伊良虞は伊良湖岬もしくは神島のことと言われてもピンとこない。しかし、写真を見てほしい。伊勢(鳥羽)から見ると、神島も伊良湖岬も島々にしか見えない。

かくて、神々のすまう日本のエーゲ海を横断して、伊良湖岬へ向かったのだった。

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