薬害肝炎九州原告団総会2日目は、倉敷美観地区・大原美術館の視察。
薬害肝炎原告団は、薬害の再発防止策の一環として、薬害資料館の設置を政府に対し求めている。
これまで水俣病資料館やハンセン病資料館などを視察してきた。こんかいは総会が岡山開催となったこともあり、最寄りの大原美術館を視察することにした。
倉敷美観地区にあり、古代ギリシア(イオニア)ふうの外観。近くからはもちろん、路地からでも、目立つ存在である。
倉敷の実業家大原孫三郎が昭和5年に設立、日本最初の私立西洋美術館。館長は高階秀爾氏、理事長は大原あかね氏(孫三郎の曾孫)。マスターピースはエル・グレコの「受胎告知」ほか。
この日、G7・労働雇用大臣会合の会場となっていたため、大忙し(ずいぶん前にアイビースクエアを予約しようとしたらダメだったのは、こういうことだったのか)。
そうしたなか、わが事務所の迫田登紀子弁護士と理事長が一橋の同級生ということで、美術館の理念や歴史を特別にレクチャーしていただいた。筆頭学芸員によるもので、明瞭な解説とはこういうものだというお手本。
大原孫三郎は、一方で、クラボウ、クラレ、中国銀行、中国電力の前身などを創業・社長を務めるなどして大原財閥を築き上げた。
他方、文化社会事業にも熱心に取り組み、大原美術館をはじめ、各種病院や研究所を設立している。今回、美術館がG7・労働雇用大臣会合の会場となったのは、そのような歴史に鑑みてのことだという。
九州の炭鉱王たちも、芸者をあげたりお札に火をつけたりするんじゃなくて、そうした文化社会事業に熱心にとりくんでいてくれたらなぁ。そうすれば、もっと近場で西洋美術に親しむことができたのに。
大原美術館ほどのものとなれば悠々自適と思っていたのだが、そうでもなく、これを引き継いだ歴代はそれぞれ創意工夫しつつ継承されてきたのだなと実感することができた。
美術館視察に先立ち、倉敷美観地区を観光した。集合時間より1時間ほど先に現地に到着したので。
ボランティアガイドのおじさんに案内を依頼。ボランティアといいつつ、500円徴収(いくら支払っていいか分からぬまま最後に謝礼をいただくより、最初から明瞭会計のほうがお客さまのほうも安心できてよいのだとか)。
40代からもう40年もこの仕事をなさっているという。さすがに説明がこなれていて、お上手。各地の観光地から呼ばれ、ボランティアガイドとは?という講演をなさってきたという。
彼からは、美術館側から聞けなかった孫三郎のやんちゃな側面も聞くことができた。人物や歴史は多面的。やんちゃな側面を知って、より孫三郎を尊敬するようになった。
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