県外の○○から通勤しているある若手弁護士が稲村晴夫弁護士より遅く出勤していた。重役出勤という表現があるけれども、さすがに社長より遅く出勤する重役はいなかろう。社会常識がないなぁと思っていた。
別に社長に気をつかえというのではない。一事が万事なのであって、出勤早々、他のメンバーに対して、やる気がないなぁと思わせるところが脇があまいと思うのだ。
会社と違ってうかつに注意できないのは、弁護士という職業柄である。サムライ業であるから、どこで、どんな振る舞いをしようと原則として個人の自由に委ねられている。会社員とは違うところだ。
NHK大河における菅田将暉の義経ではないが、武将として誰もが瞠目する活躍をすれば少々のことは大目に見られるようにはなる。その義経でさえ、最後には頼朝に追われることになったのであるが。
ま、いろいろ考えて注意はしていなかった。
ある時から田中弁護士が早朝出勤し、ゴミ捨てや加湿器の水の補給その他働く環境整備をしてくれるようになった。
経営者の心の鍛錬として、社員の誰よりも早く出勤して、トイレ掃除をするといいという。社員に対する愛情と感謝が育まれるなど、生きる姿勢が磨かれるらしい。
「そなたが鍛錬し、培い、身につけたものは一生の宝となるもの。されど、その宝は分け与える程に、輝きが増すものと心得る」(カムカム)。
最近になって田中弁護士が、そのことを弁護士MLで報告した。日ごろ考えていたことを返信した。誰のこととは書かなかったが、若手弁護士は「○○は遠いから、遅くなるんだ。」などと弁解した。が結局、早朝出勤するようになった。
すると、ある事務局が「1階でなにかあったのですか。」と、心配して訊いてきた。
トミーが3月18日の投稿で書いているように、4月1日席替えを実施した。1階は男性弁護士4人となった。そのうち3人は、田中弁護士、トミー、当職であるから、もともと早出である。
ある若手弁護士が早朝出勤をするとなると、朝から1階弁護士の全員が顔をあわせることなる。いままでにないことである。それを敏感に感じとり、すかさず心配してくれたのが「1階でなにかあったのですか。」である。
さすが。うちの事務局はどこの事務所にも劣らず気配りがきく。わずかな変化も感じとり、気を使ってくれる。
「いやいや、なんでもない。われわれはもともと早出で、○○くんが早く来るようになっただけだから。」と返した。笑いが起こり、一件落着したかに思えた。
夕方になって、事務局長が「○○は遠いですね~。」と話をふってきた。どきっ。せっかく一件落着したと思ったら、また蒸し返しか?
思い過ごしであった。午後、事務局長は仕事で○○まで行って諸手続を行ってきたのである。交通が不便でたいへんだったらしい。その感想が「○○は遠いですね~。」だった。ほっ。
0 件のコメント:
コメントを投稿