原尻の滝を見学したあとは、タクシーでぽつんと一軒家にでてくるような細い道をくねくねといく。右手西側は祖母山の山壁、左手東側は傾山の山壁、その谷間を分け入る。
ほどなく九折登山口に着く。別名、豊栄鉱山跡登山口。むかしは錫・銅が採れた。花崗岩と石灰岩の境界となっている。花崗岩はマグマが地中深くで冷え固まったものだし、石灰岩は太平洋のサンゴ礁跡である。造山活動の複雑さが思いやられる。
奥岳川沿いはカドミウム汚染の恐れから、鉱害復旧事業が行われている。水は澄んでいるけれども魚影は見かけない。鳥がさえずっている。
今回は三尾コース。旧坑道を歩いて谷を詰めていく。途中、登山道に入り、75mある観音の滝を巻いていく。林道と出会い、三尾の尾根に取り付く。
急な傾斜だ。山が古いせいか、全山、傾斜がきつい。しばらくすると数百年はあろうかと思われるモミやツガの巨木が並んでいる。強風と上部が折れてしまったものも少なくない。ときおりヒメシャラのすべすべ樹はだが混じる。
稜線が近づくと、ミツバツツジ、アケボノツツジが咲き誇り、われわれの疲れた体を癒やしていくれた。昼食後、ようやく三尾に到着。
天気予報では曇りのはずが、いつまでも雨があがらない。シャツがぐしょぐしょだ。アブラチャンも雨に濡れて輝いている。
山頂付近は岩稜で厳しい。二つ坊主、三つ坊主と呼ばれている。日本むかし話に「吉作落とし」というのがある。吉作が岩稜にはえる岩茸を採りに行き、滑落して死んだ話だ。たしかに険しい山だ。その上、気温も低下し、雹かアラレのようなものまで降り出した。
傾山の山頂は1602メートル。ガスガスだが、マンサクが咲いていた。山の季節は2月から5月の花まで凝縮されている。
山頂付近は、アセビの花も満開だ。ミツバツツジと競演している。ガレガレの厳しい山に美しい花々のとりあわせ。これぞツンデレの極北。惚れてしまうやないか~。
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