2022年11月15日火曜日

大塚国際美術館(1)

 




 徳島の旅の第一の目的地は鳴門海峡ちかくにある大塚国際美術館。西洋名画の等寸大レプリカ1000点を展示する。

なぜ大塚か、なぜ徳島か。 大塚製薬や大塚食品の大塚グループがスポンサーだから、その創業が徳島だから。知らなかった。子どものころ親しんだオロナイン軟膏やボンカレーの発祥が徳島だったとは。

とにかくすごい、ウフィツィあり、ルーブルあり。名だたる美術館の名だたる名画が目白押しである。さらにすごいのはシスティーナ礼拝堂やスクロベーニ修道院がそのまま復元されていること。

レプリカだけれども、見終わったときの感動はほんものとそう変わらない。シロウトゆえかもしれないが、ヨーロッパの美術館めぐりを一日で楽しめる。

さて1000点のなかからどれをご紹介しようか。難問である。じぶんの大好きな5点を紹介しよう。誰の・何という画かお分かりだろうか。いずれも超有名である。どこかで見られたことはあるだろう。

1つ目はイタリアはウフィツィ美術館にある。ボッティチェリの「ビーナスの誕生」。人間復興のルネッサンスを代表する画だ。イタリアを旅したときのガイドさんは、絵画の革新者の第1としてボッティチェリを推していた。

2つ目も同じくウフィツィ。ミケランジェロの「聖家族」。ミケランジェロらしい、美ボディ大会で優勝できそうな聖母マリアである。大塚国際のミケランジェロといえばシスティーナ礼拝堂天上画だろうけれども、原寸大ゆえデカすぎて写真におさまりきれない。写真にきれいにおさまったこちらの写真を掲載することにする。

3つ目はわれわれにはドキドキもの、ウイーン美術史美術館にある「バベルの塔」。オランダの画家ピーテル・ブリューゲル(父)の作品。われわれが中学生のころ「バビル2世」というアニメをやっていた。♪砂の嵐にかくされたバビルの塔に住んでいる・・・。あれのモデルだ。人間の傲慢ゆえに神の怒りを買い、完成をみることはない。ジグソーパズルでみた人もいるだろう。はたして完成するだろうか。

4つ目はフランスのルーブル美術館蔵。ニコラ・プッサンによる古典、「アルカディアの牧人たち」。アルカディアは古代ギリシアにあった理想郷。中国の桃源郷のようなもの。画や写真が美しく見えるためには構図が黄金分割比となっている必要がある。ざっくりいえば、たてよこ3分の1ずつ分割されているとよい。料理の写真を撮るときなど、料理を真ん中にするのではなく(日の丸構図という。)、たとえば左右3分の1、上下3分の1のところに中心がくるように写すと美しく感じる。この画はその黄金分割の手本であると教えられた。

5つ目はスペインのプラド美術館蔵。ゴヤによる「裸のマハ」。それまでも女性の裸は描かれてきた。それが許されていたのは対象が神だった(あるいは、神であるというお約束があった)から。さきほどみた裸のビーナスはギリシア神話の神である。それなのにゴヤは人間の女性の裸を公然と描いた。大スキャンダルとなった。巨匠たちが自由を求めて革新をつづけたきたからこそ、いまがある。「楽園のカンヴァス」や「ジヴェルニーの食卓」など絵画ものを勢力的に書いている小説家・原田マハのマハはこの画からとられている。

すごいね。イタリア、オーストリア、フランス、スペインをかけめぐり。あわせて西洋絵画の革新の歴史もかけめぐり。

ほんとうはボッティチェリよりまえに、スクロベーニ修道院のジョットの壁画を紹介したかった。しかしうまく撮れなかった。つぎに行ったときはもっとうまく撮影しよう。

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