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2024年2月29日木曜日

永遠の都ローマ展@福岡市立美術館

 






 芦雪(ろせつ)展→ろ○○展→ローマ展。というわけではなく、イタリア旅行の思い出にひたれるかということで、「永遠の都ローマ展」@福岡市立美術館へ。

カピトリーノ美術館の所蔵品を展示。カピトリーノ(カンピドリオ)はフォロ・ロマーノの西にある丘。古代ローマはテヴェレ川の東にある7つの丘のうえに都市国家として発展した。その一つ、最も高い。

丘の上にはミケランジェロが設計したカピトリーノ広場がある。1枚目の写真は2009年に行ったときのもの。2014年にも行っているのだが、人物が写っている写真ばかりなので、いささか斜めっているがこの写真で我慢してくだされ。

カピトリーノ美術館は、1734年(市民革命前!)に一般市民に公開され、世界初の美術館といわれる。古代ローマの作品は古い話なので彫刻が基本。2枚目の写真は世界史の教科書にも載っている古代ローマ建国神話から、狼に育てられたロムルスとレムス。

3枚目の写真は祭壇。4面にレリーフがある。この面は1番上にパリスの審判が描かれている。パリスはトロイア(イリアス)王の息子。いわゆる三美神のなかで誰が一番美しいか判定されられた。最初から美の女神ビーナスが一番に決まっていると思うが。

パリスはその褒美として美女ヘレネーを与えられる。しかし彼女はスパルタ王の妻(現代のものさしでははかれない。神々のなさることだから。)。その結果がスパルタが所属するギリシア勢がトロイアを攻めるトロイア戦争。

トロイア側の英雄アエネイアースはトロイア滅亡後も遍歴の旅をつづけイタリアにたどりつく。というわけで、パリスの審判はめぐりめぐって古代ローマの建国神話につながるのだった。

4枚目の写真はサロニア・マティディア。トラヤヌス帝の姪、ハドリアヌス帝の義母で、尊称アウグスタ。死後、ハドリアヌスにより神格化された。

5枚目はキリスト教を公認したコンスタンティヌス帝。330年、帝都をローマからコンスタンティノープルに変えた。それら偉業のせいか、像も巨大。

6枚目はぐっと時代が下ってカラバッジョの洗礼者ヨハネ。洗礼者ヨハネといえば、ダビンチの謎めいた表情のほうが断然すぐれている。と思う。

7枚目は・・・なんだっけ?とにかく締めは楽しくということで。

2022年11月15日火曜日

大塚国際美術館(1)

 




 徳島の旅の第一の目的地は鳴門海峡ちかくにある大塚国際美術館。西洋名画の等寸大レプリカ1000点を展示する。

なぜ大塚か、なぜ徳島か。 大塚製薬や大塚食品の大塚グループがスポンサーだから、その創業が徳島だから。知らなかった。子どものころ親しんだオロナイン軟膏やボンカレーの発祥が徳島だったとは。

とにかくすごい、ウフィツィあり、ルーブルあり。名だたる美術館の名だたる名画が目白押しである。さらにすごいのはシスティーナ礼拝堂やスクロベーニ修道院がそのまま復元されていること。

レプリカだけれども、見終わったときの感動はほんものとそう変わらない。シロウトゆえかもしれないが、ヨーロッパの美術館めぐりを一日で楽しめる。

さて1000点のなかからどれをご紹介しようか。難問である。じぶんの大好きな5点を紹介しよう。誰の・何という画かお分かりだろうか。いずれも超有名である。どこかで見られたことはあるだろう。

1つ目はイタリアはウフィツィ美術館にある。ボッティチェリの「ビーナスの誕生」。人間復興のルネッサンスを代表する画だ。イタリアを旅したときのガイドさんは、絵画の革新者の第1としてボッティチェリを推していた。

2つ目も同じくウフィツィ。ミケランジェロの「聖家族」。ミケランジェロらしい、美ボディ大会で優勝できそうな聖母マリアである。大塚国際のミケランジェロといえばシスティーナ礼拝堂天上画だろうけれども、原寸大ゆえデカすぎて写真におさまりきれない。写真にきれいにおさまったこちらの写真を掲載することにする。

3つ目はわれわれにはドキドキもの、ウイーン美術史美術館にある「バベルの塔」。オランダの画家ピーテル・ブリューゲル(父)の作品。われわれが中学生のころ「バビル2世」というアニメをやっていた。♪砂の嵐にかくされたバビルの塔に住んでいる・・・。あれのモデルだ。人間の傲慢ゆえに神の怒りを買い、完成をみることはない。ジグソーパズルでみた人もいるだろう。はたして完成するだろうか。

4つ目はフランスのルーブル美術館蔵。ニコラ・プッサンによる古典、「アルカディアの牧人たち」。アルカディアは古代ギリシアにあった理想郷。中国の桃源郷のようなもの。画や写真が美しく見えるためには構図が黄金分割比となっている必要がある。ざっくりいえば、たてよこ3分の1ずつ分割されているとよい。料理の写真を撮るときなど、料理を真ん中にするのではなく(日の丸構図という。)、たとえば左右3分の1、上下3分の1のところに中心がくるように写すと美しく感じる。この画はその黄金分割の手本であると教えられた。

5つ目はスペインのプラド美術館蔵。ゴヤによる「裸のマハ」。それまでも女性の裸は描かれてきた。それが許されていたのは対象が神だった(あるいは、神であるというお約束があった)から。さきほどみた裸のビーナスはギリシア神話の神である。それなのにゴヤは人間の女性の裸を公然と描いた。大スキャンダルとなった。巨匠たちが自由を求めて革新をつづけたきたからこそ、いまがある。「楽園のカンヴァス」や「ジヴェルニーの食卓」など絵画ものを勢力的に書いている小説家・原田マハのマハはこの画からとられている。

すごいね。イタリア、オーストリア、フランス、スペインをかけめぐり。あわせて西洋絵画の革新の歴史もかけめぐり。

ほんとうはボッティチェリよりまえに、スクロベーニ修道院のジョットの壁画を紹介したかった。しかしうまく撮れなかった。つぎに行ったときはもっとうまく撮影しよう。

2012年3月8日木曜日

マクニール・『世界史』 by.読書も好きな福岡の弁護士



 『世界史』(中央公論新社)
 ウィリアム・H・マクニール著。

 ジュンク堂で平積みになっていたので
 積ん読していたものに,ようやくとりかかり。

 上巻をちょっと読んだものの
 挫折しそうだったので,下巻から。

 下巻は中世→近代への移行期
 1500年以降の世界史がえがかれています。

 なかなか面白いのですが
 文章が抽象的で意味が分からぬところも多々。

 それでも世界史が偉人列伝ではなく
 大きな潮流に巻き込まれるような,めくるめく感がすばらしい。

 美術でさえ,ダビンチやミケランジェロなどの
 天才の偉業としてではなく

 人類の総合的な美意識の流れとして
 とらえられています。

 たしかに,モナリザを描いたのはダビンチでしょうが
 それを傑作と評価して受け入れたのは同時代人です。

 おそらくダビンチが中世にモナリザを描いても
 だれも評価せず歴史の闇に埋もれてしまったでしょう。

 ルネサンス期にはモナリザを傑作として受容する素地が
 歴史の空気が存在していたことは疑いのないところです。

 ルネサンスや宗教改革がダビンチやルターら偉人の成果
 でないとすると,その原因は“どうしてじゃ~?”(間寛平)

 ということになるのですが
 それは「地理上の発見」です。

 これにより,価格革命,アメリカ大陸の栽培植物,病気の伝播
 世界中の知識と発明のヨーロッパへの流入が起こり

 これらがヨーロッパ人たちの意識を揺り動かし
 ルネサンスや宗教改革を惹きおこしたわけです。

 これによる1648年までの宗教戦争について
 著者は「ヨーロッパの陣痛」と評しています。

 愛を説くキリスト教の新・旧両派の戦争について
 私はこれまでマイナス評価しかしていませんでした。

 しかしこの痛みの激しさが人々を中世の鋳型から脱出させ
 深い意味で近代世界を創造したという指摘にびっくり。

 厳しい経験が,文化的に多様な世界を作り出し
 人間の才能と個人の業績を引き出したのか…。なるほど。

 われわれも東日本大震災の厳しい経験から
 新しい自由な世界を作り出さねばですね。

               ちくし法律事務所 弁護士 浦田秀徳