2022年11月21日月曜日

阿波国一宮、第九初演の地、第二番札所

 







 四国遍路第一番札所のあとは、北側へ進む。まもなく大鳥居をくぐる。柿がたわわ。歩いて15分ほどで阿波国一宮・大麻比古神社。

神武の時代、アメノトミノミコトが阿波に移り住み、麻などを播種してこの地を開拓したという。境内にはクスの大木がたくさん。パワースポットの貫禄である。

背後は讃岐(阿讃)山脈の一部をなす大麻山。他ではみられないアカガシやイスノキが優先する貴重な自然林になっているという。もとはそうしたところがパワースポットとして知られ、その麓に神社やお寺がつくられたのだろう。

讃岐側に比べ阿波側は吉野川に削られて急であるという。山中からはアンモナイトなどの化石が観察され、太古は海のなかだったらしい。吉野川は中央構造線であるから、さもありなん。太古の記憶の残存がここをパワースポットたらしめているのだろうか。

神社を参拝したあとは西へ向かう。サルに注意との看板がある。まもなくサルたちが出迎えてくれた。神社は猿田彦も祀っているので、神の使いだろうか。われわれの行く先を道案内してくれるのだろうか。すばっしこくて写真には撮りそびれた(撮れたがピンボケである、神の使いゆえか。)。

15分ほどで、第一次世界大戦中の俘虜収容所跡とドイツ館。大戦中、中国青島でドイツ軍と戦ったとだけ世界史で習った。その際の捕虜が日本各地に分散収容され、ここはその一つだった。ちなみに、俘虜収容所は英語でキャンプという(小さい辞書にはでてこない。)。

収容所長は懐がひろく、俘虜たちに可能なかぎり自由を認めた。スポーツや音楽活動が盛んになり、そうしたなかで、ベートーベンの第九交響曲の国内初演もなされた。

ドイツ館のまえではドイツ人と思われる若者たちが記念撮影をしていた。いまでもドイツとの交流がつづいているようだ。

館内では人形が第九を演奏してくれた。
♪Alle Menschen werden Bruder・・
時節柄心に沁みた。

そこからさらに西へ向かう。やはり15分ほど。西にあるのはどこか。そう、極楽である。日もうまいぐあいに傾いてきた。あたりは黄金色に輝く。

四国遍路第二番札所は極楽寺。犬もお遍路すがただ。本殿よこで、主人が般若心経を唱えるあいだ、おとなしく待っていた。この犬もきっと極楽へ行けることだろう。

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