2024年1月9日火曜日

初詣は室の八島(大神神社)


 


 みなさま明けましておめでとうございます。
 本年もよろしくお願い申し上げます。

 ことしの初詣は栃木県のパワースポット大神神社(おおみわじんじゃ)。なんで大神神社に初詣をすることになったのか?

例によって、年末年始は雪山登山を計画していた。元日は長野県北部にある佐久平に宿泊し、2日は浅間山(あさまやま)に登る計画だった。

浅間山は標高2568メートルの日本百名山。活火山である。火山情報で安全を確認して登らなければならない。明日はなんとか登れそうだ。

佐久平は東横インホテルに宿泊。窓からは雪化粧した浅間山が美しく見えていた。よい山旅ができそうだと期待はふくらんだ。

ところが同日16時10分、能登半島地震が発生。ホテルは9階建てで、その4階に泊まっていた。ミシミシとホテルの躯体がしなる音が体感で1分ほども続いた。北信は震度5弱だったそう。震度5弱であの揺れ、震度7ともなれば強烈な揺れだったと思う。震源地近くの方々の被災と不安に思いを馳せた。

新幹線や在来線もとまってしまい、2日も影響が残ることが懸念された。帰りの飛行機の予約は2日19時15分発。そのため、浅間山登山は中止することにした。

 さて、1日空いた2日の予定をどうするか。交通機関の混乱をおそれて、長野をはなれ関東をめざしたほうがいい。あれこれ考えて、おくのほそ道の旅程のなかで未踏の室の八島を訪ねることにした。この室の八島こそ、栃木県のパワースポット、大神神社である。

室の八島は栃木県にある。江戸深川を出立した芭蕉が、草加(じっさいは春日部)宿の次、日光の前に記述しているのが室の八島。だいたいそのあたり。

ですがなかなかに行きにくい。佐久平から新幹線で高崎まで、そこから両毛線で栃木まで、新栃木で宇都宮線に乗り換えて野州大塚まで。最後は東武線。日光行きの全席指定の特急はたくさん通過するけれども普通電車は1時間に2本ほど。

 おくのほそ道によると室の八島はつぎのとおり。

 室の八島に詣す。同行曽良がいはく、「この神は木の花咲耶姫の神と申して、富士一体なり。室戸に入りて焼きたまふ、誓ひの御中に、火々出見の尊 生まれたまひしより、室の八島と申す。また煙をよみならはしはべるも、このいはれなり。はた、このしろといふ魚を禁ず」。縁起の旨、世に伝ふこともはべりし。(角川ソフィア文庫)

同行者曽良の紹介文でもある。曽良は有能な秘書であり、有能なツアーガイドでもあった。神社の縁起にも詳しかった。

コノハナサクヤヒメはアマテラスの孫であるニニギノミコトの妻。父の大山津見神は姉のイワナガヒメもいっしょに嫁がせようとしたが、ニニギは拒否。コノハナサクヤヒメは美をイワナガヒメは長命を約束していたが、ニニギが長命を拒否したため、その子孫は短命になったという。

富士山には富士浅間神社(センゲンジンジャ)が祀られているが、その神もコノハナサクヤヒメ。富士山と同一の神である。むかしは富士山も火山活動をしていたから、浅間神社の神がコノハナサクヤヒメであることは肯ける。そのいわれはこう。

ヒメは一夜にしてみごもった。ニニギはほんとうに俺の子かと疑った。疑いを晴らすため、神の子であれば火にも焼けじと誓って、ヒメは戸のない室に火を放ち、そのなかで出産した。ヒメもご気性が激しかったようで。無事、ホホデノミコトを産んだ。

火々出見の尊はホホデノミコト。文字どおり火のなかから出てきたから。神武天皇の祖父とされ、神話では山幸彦(ヤマサチ)として有名である。

芭蕉はそのゆえに室の八島と申すというが、これだけでは分からない。その昔にはこの地に八つの島があったからだという。いまは境内に池と小さな島がしつらえれている。

煙をよみならはしはべるというのは、たとえば、藤原実方のこの和歌。

 いかてかは思ひありとも知らすへき室の八島の煙ならては 

意中の人に恋の思いをどうやって知らせようか、室の八島の煙であればともかく。そうではないので。

このしろといふ魚を禁ずというのは、「この城」を焼くにつながるから。

これほどのパワースポットなれど、人々はみな日光へ向かったのか、境内はそれほど混雑もみられず。落ち着いて参拝をすることができた。このあと、航空機事故に遭遇することになるとは、この時点では思いもよらず・・・。

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