2024年1月11日木曜日

海保・日航機衝突事故との遭遇(2日目)

 





 10時05分羽田発の飛行機の予定。通常であれば1時間まえに空港に着くようにしているが、きょうは7時すぎにホテルを出発し、8時まえには空港に着いた。なにがあるか分からない、用心のためである。

京急を利用しなれていないので、間違えて第2ターミナルへ上ってしまった。覚悟していた長蛇の列は見受けられなかったので、すこし安心した。そこから連絡通路を利用して第1ターミナル側へ移動した。

第1ターミナルには、なんと、長蛇の列ができていた。どうやら日航だけのようである。ANA側にはなかったものがなぜ?どこかオペレーションに問題があるのではなかろうか。

すくなくともネットで予約だけでなく振替までできるようにすれば、大部分は解決できるはずであるが、お金がからむからかできない。ひとりひとりの地上係員のがんばりはすばらしいものがあるのだが。

「最後尾」の看板をもっていた人に、昨日のチケット振替の列であることを確認して並ぶ。列はきょうもまたターミナル内を何度か折れ曲がっていて、前方がどこへつながっているのか確認ができない。

飛行機に乗りたい人たちにも、複数のグループがあった。簡明なのは、昨日の事故とは関係なく、以前から3日の便を予約していた人たち。この人たちは列に並ぶ必要がない。普段とおなじく自動チェックイン機でチェックインすればよい。

ターミナル内には、それ以外の人々の列が少なくとも3つあった。われわれ以外の列が2つはあったということだ(このようなことも3時間並ぶうち次第に分かったことである。最初のうちはなにがなんだから分からないまま並んでいた。)。

まず、昨日の事故とは関係なく、今日はじめてチケットを購入しようとする人たちの列(この人たちはネットを利用することが可能で、かならずしも列に並ぶ必要はない。しかしアナログにしか対応できない人が一定数いることはやむを得ない。)。

それと離陸時間が間近に迫っている人たちの列である。これら目的を異にする列が入り乱れていること、その説明が十分でないことが、われわれの不安と疲れを増幅させていた。

広島(南ウイングなので、福岡のほか、岡山、熊本、鹿児島、宮﨑など、行く先が南方の方ばかりである。)から来られたとおぼしき夫婦がこの列でいいのじゃろうかとしきりに気にしている。二人いるのであるから(この点、一人旅は孤独、不便、不安である。列に並んでしまえば、トイレに行くこともできない。)、手分けして一人が確認に行けばよいのに、ずっとこの調子である。この夫婦はこのあともずっと、不安、不平、不満を口にしていた。

他方で、たいへんな状況であるけれども、前向きに対処しようとする方々もいた。「こんな体験、一生のうちでもないと思うよ。」などと話をされていた。

なにごともそうなのだなと思う。苦難であっても、前向きに乗りきればよい経験になる。他方で、後ろ向きに不平・不満を述べていればストレスでしかない。どうせなら、前向きに乗り切っていく方がよい。自分もそう考えていくことにした。

運行状況を示す掲示板を見ると、きのう予約していた9時10分発の便はやはり欠航となっていた。きのうのうちに10時10分に変更できてよかった。

・・・長蛇の列は遅々として進まなかった。3つ目の写真は9時35分ころの状況である。残り時間30分であるから、とても間にあいそうもない。

そう思っていたら、日航さんからメールが来た。出発を40分延ばすらしい。それでも間にあうのか?今日中に帰ることができるのか?

答え、このまま並んでいたのでは間に合わない。ではどうなるのか?出発30分まえになると、優先カウンターに並ぶ列に案内された。それでもそこも50人くらいの列ではあった。しかしなんとか間にあった。

無事、振替とチェックインと手荷物預けの3つの手続をすることができた。こう書けば簡単だが、列に並んでいるときは、振替手続のあと、あらためてチェックインや手荷物預けをしなければならないのではないかと気をもんだのである。

結局、チェックインできるまで3時間、行列に並んだことになる。その間、自分もいろいろと心配したが、まわりの人間ドラマも興味深いものがあった。困難に直面して人間の真価が試されるとあらためて思った。

機内に登場できたとき、離陸できたとき、福岡空港に着陸できたとき、それぞれ心から安堵した。かくて、もし生きて帰らばと、定めなき頼みの末をかけ、その日やうやう福岡といふ宿にたどり着きにけり。

以上、海保・日航機衝突事故に遭遇した経験を書かせてもらった。今後、みなさんがこのような状況にぶつかったとき、なにがしかの参考になれば幸いである。

能登半島地震で被災した方々、被災地支援に向かう途中で亡くなった海保の方々やそのご家族のことを思えば、この程度のことはなにほどのことはないだろう。亡くなった方々のご冥福と被災地の一刻もはやい復興を祈りたい。

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