2011年10月14日金曜日
蒼穹の昴
弁護士になってから数件
日本人男性と中国人女性の離婚事件を手がけました。
最初のころは中国がいまだ発展途上国みたいな情況で
離婚後の中国人女性の立場は非常に弱いという感じでした。
最近は中国の経済的発展もめざましく
離婚をめぐる情況も変わりました。
離婚して中国に帰ることになっても
それほど困らないのではないかという感じなのです。
われわれの仕事も時代の情況とともに
変化するなぁと感じた次第です。
そんななか、ある人の薦めで
浅田次郎さんの「蒼穹の昴1~4」(講談社文庫)を読みました。
中国清朝末期、戊戌(ぼじゅつ)の政変がバックグラウンドに
若者たちの生きざまと友情を描いています。
戊戌の政変は1898年、西太后が、栄禄、袁世凱らとともに
武力をもって戊戌の変法(改革)を挫折させた、反変法のクーデター。
日本でいうと安政の大獄あたりに当たるものでしょうか
新しい体制をめざす改革勢力を旧勢力が弾圧した事件です。
私たちが子どものころ、義和団事件(1900年)を背景とした
「北京の55日」という映画がありました。
少し時代はくだりますが南京事件(1927年)を背景とした
「砲艦サンパブロ」という映画もありました。
いずれもアメリカの上から目線で描いたもので
いたいけな僕らはそのような中国観を形成させられたものでした。
その後、坂本龍一さんの音楽も記憶にのこる「ラストエンペラー」を経て
「蒼穹の昴」。
そこで描かれる若者群像は、日本の維新前夜のおける若者らの活動
となんら変わりありません。
あたりまえというべきか
「壬生義士伝」における浅田節とおなじ心情なのです。
広大な蒼穹のなか、昴に導かれ、あるいは、昴をめざす心意気に
国、人種、時代の違いはないんですね。
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