2025年11月10日月曜日

ある自己破産申立事件

 

 先日、ある自己破産申立事件の債権者集会が開かれた。破産者(高齢の女性)とは期日の10分まえに集会場所ちかくで待ち合わせていた。

 10分間の遅刻であった。自己破産の原因としては、経済社会生活のルーズさが原因のことが多い。裁判所における債権者集会への遅刻はその端的な現れとみなすことができる。

 しかし呼吸が乱れており、エレベーターに乗り込むと、立っていられず、しゃがみこんでしまった。わけを訊くと、裁判所に来る途中でパニック障害をおこしたという。もう10年以上うつ病を患っていることは承知していたが、パニック障害までは把握していなかった。励ましつつ、なんとか集会所までたどりついた。

 集会はなんとか乗りきったものの、集会終了後、たちくらみを起こし、歩けなくなってしまった。呼吸が正常化するまで、近くの待合室で安静にすごす。

 破産の原因は、投資詐欺にあったためである。さらに詐欺加害者から夫の個人情報を聞き出されて悪用されたため、離婚を余儀なくされ、生活費を渡されない生活となっている。

 ここのところ自己破産事件が増えている。貧窮にくわえ、投資の失敗も増えている印象である。それも一般の投資というより詐欺被害的なものが多い。高齢化の進展、格差の増大・経済的不安定層の増大、少ない年金、物価の上昇等から、将来の経済生活に不安を感じる人が増えている結果である。

 単純に人をたばかる詐欺加害行為は許せないが、日々ぎりぎりの生活を強いられている人たちに対するこのような加害にはつよい憤りを感じる。

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