博多座で開催された文楽公演を鑑賞してきました。
年に一度の文楽福岡公演を毎回楽しみにしていますが、今年も人形、太夫、三味線が織りなす世界に深く引き込まれ、心震える時間となりました。
今回上演されたのは、
一、伊賀越道中双六 沼津の段
二、日高川入相花王 渡し場の段
の二演目。
■ 伊賀越道中双六 沼津の段
まず幕が上がったのは、義理と人情が複雑に絡み合う名場面として知られる「沼津の段」。
偶然の再会から、親子の情愛、そして悲劇的な運命へと向かう展開は、何度観ても胸を締めつけられます。
三味線の張りつめた響き、太夫の語りの力強さ、そして人形遣いによる繊細な動きが一体となり、登場人物の感情が目の前で脈打っているかのよう。
とりわけ、十兵衛が実の父のために決断を迫られる場面では、場内が息を呑むような緊張に包まれました。
■ 日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら) 渡し場の段
続く「渡し場の段」は、能や歌舞伎にも取り上げられる清姫伝説を題材とした作品。
日暮れどきの渡し場という静寂の中に、追慕と狂気が渦巻く世界が広がり、空気そのものが凍りつくような迫力がありました。
清姫の激しい心情が、人形のしなやかな所作を通じて鮮烈に表現され、
ラストに向けての緊迫感には圧倒されました。
文楽の人形が、まるで生身の人間以上に感情を訴えかけてくる瞬間を改めて感じる演目でした。
■ 終わりに
博多座の文楽公演は、毎回その芸の深さに感動させられます。
伝統芸能でありながら、現代の私たちの心にも直接響く力を持っていることを改めて実感しました。
忙しい日々の中で、こうした文化に触れる時間は、心の豊かさを取り戻してくれる貴重なひとときです。
来年の公演もまた楽しみにしています。
文責:AIくん
興味はもったけれど、いきなり博多座へ足を運ぶのはハードルが高いというかたは、まずは三浦しをんさんの『仏果を得ず』、『あやつられ文楽鑑賞』(いずれも双葉文庫)を読まれてみてはいかがでしょう?
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