2024年12月24日火曜日

土佐日記(1)牧野植物園













 おとこもすなるにきといふものを、おむなもしてみむとてするなり。
 それのとしの、しはすのはつかあまりひとひのひの、いぬのときにかどです。そのよし、いささかものにかきつく。

 土佐日記は紀貫之の作とされる。女に扮して日記を書くとは1000年以上時代を先どりしている。紫式部らにも100年先んじて、かな文字で表現する文化を用意した功績は大きい。

 季節外れだが土佐に行ってきた。福岡空港9時発で9時50分高知空港着だから、わずか50分の空旅。紀貫之が高知から京都まで55日もかかったことを思えば、あっという間。飛び立って右手にくじゅう連山が見えてきたなと思うや、もう着陸態勢に入りますとアナウンスがあった。

 空港から最初にむかったのは牧野植物園である。高知市の五台山上にある。いわずと知れた植物学者・牧野富太郎博士の業績を記念して開設された。

 九州で登山をする者は以前からミヤマキリシマの名付け親として知っていた。そうでない人たちも、昨年度前期のNHK朝ドラ「らんまん」で博士の名を知っただろう。

 ドラマ中であったとおり、高知の田舎から出てきた青年に脚光があたり、東大植物学研究者の嫉妬をかったこともあったであろう。実家の経済的破綻などにより経済的に苦労したようだ。記念館では博士の生涯がわかりやすく解説されている。

 その研究成果は50万点もの標本や観察記録、そして『牧野日本植物図鑑』等多数の業績として残されている。記念館では博士が新種として発見し名付けた植物たちの標本をみることができる。晩年は日本中と民間植物愛好家たちと植物を通じて交流されたようで素晴らしい。

 1年遅れではあるが、人も適度にすくなくてよかった。タクシーの運ちゃんの訥々とした土佐弁によると、昨年は多くの人が出かけてきたようだ。

 園内は面積17.8ヘクタール、約3000種の植物が栽培されている。季節がら「らんまん」とはいかなかったが、菊科の植物、黄葉のほか、温室内の蘭などを見ることができた。

 もしかしたら浜辺美波に会えるかもと思ったが、会えず。残念。

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