きのうと同じ瑪瑙象眼杯(めのう・ぞうがん・さかずき)。1997年に、新疆ウイグル自治区にあるイリ市昭蘇県の歩間古墳から出土した。
「シルクロードといえば、正倉院の宝物、中島敦『李陵』、井上靖『楼蘭』、『敦煌』、玄奘三蔵・『西遊記』などわれわれにも親しい」と書きつつ、例えがいささか古いと感じた。
最近でいうとNHK・BSで、イギリスの旅行会社が主催し、イスタンブールから西安(長安)までバスツアーをする番組をやっていた。でもこれをみた人はすくなかろう。
その他なにかなかったっけ? 堺雅人の「VIVANT」はどうだろう? ドラマにはバルカ共和国がでてくる。ドラマの内容的に実在国ではさしさわりがあるので架空国である。
でも中央アジアに位置し、中国、ロシア、モンゴル、カザフスタンに囲まれた内陸国であるとされる。その4国の境となると、シルクロードよりだいぶ北のようだ。
本展の目玉である先の瑪瑙象眼杯が出土したイリ市はどこだろう?
イリ市は中国、カザフスタン、キルギスの3国境である。天山北路の最西にある伊寧の辺り。
瑪瑙象眼杯の説明では、民族往来の舞台、胡人の活動とオアシスの遺宝となっている。ここで胡人はイラン系のソグド人のことだ。プレ・シルクロードといえばよいだろうか。漢人が行き来する前から、シルクロードを往来してお宝を運んでいたのである。
瑪瑙(めのう)はどこから来たのだろう?残念ながら、瑪瑙はありふれた鉱物で世界各地で算出するようだ。日本でしか採れないとなれば、井上靖に習って、日本からイリ市に至る瑪瑙の数奇な運命を推理し、創作することができたのに。
0 件のコメント:
コメントを投稿