2023年8月25日金曜日

不帰ノ嶮(かえらずのけん)(3)ご来光

 


 山中2日目の夜明け。

日の出は5時ころ。4時半まえに起き出して裏山に登る。すでに20~30人の人たちが待ち構えている。風はそれほどなく、ややひんやりする気温。ブルーモーメント。東の空が白んでいる。

寒色系の空に、すこしずつ暖色系の色合いがまじっていく。白馬村があるあたりは雲海に覆われている。東のほう、雲海の涯、ある点の光が増していく。日の出はおそらくあのあたりだ。

小さな輝点が姿をあらわす。ご来光だ。どよめきが起きる。輝点がどんどん成長し、円弧、半円、丸円となる。ひゃー神々しい。

ご来光を拝すると、太陽のパワーを実感する。太陽光線があたると、明るく、あたたかくなる。人類の強い味方。太古人類が神とあげめたことが実感できる。

手前は北信五岳(妙高、斑尾、戸隠、飯綱、黒姫)、その横は信州と越後の県境にある頚城山塊(妙高、火打、雨飾)。

西側を振り返ると、立山と剱岳がモルゲンロートに。後はビーナスベルト。美しい。手前の黒部峡谷はまだ夜があけていない。

鹿島槍、五龍、唐松、白馬の山々は後立山連峰と呼ばれる。いまの感覚だと、あれっと思う。立山の前にあるから、前立山ではないかと思うのである。

なぜか。後立山という呼称は富山県、日本海側からの呼称だ。この名称がつけられた当時、信州側より富山県側のほうが栄えていたということだろう。

しばらくすると、朝日は角度をあげる。空はふたたび、暖色からブルーの世界に変化する。雲海がキラキラ光をはねかえす。なんという雄大な景観だろう。

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