九州地方は、今年もまた大雨による甚大な被害がでた。数十年に一度の大雨による被害が毎年のように生じているのであるから、地球温暖化によるものであることは疑いない。SDGsへの早期・いっそうの取組みが求められている。
当職も、大雨被害に関し、2件の事件を抱えている。ひとつは、採石場跡のがけ崩壊事件、もうひとつは、隣地のがけ・擁壁崩壊事件である。
きのうはそのうち、隣地のがけ・擁壁崩壊事件の裁判で、リアル法廷だった。いまどきはオンライン期日が一般的なのだが、相手方の一部が本人訴訟なので、当方もやむなく出頭を求められているのである。
数年前の大雨により隣地のがけと擁壁が倒壊した。本件は、そのさらなる倒壊の予防を求めるもの。こちらは土石による侵害を受けた側。隣地と擁壁所有者に対し、安全な擁壁築造による妨害予防を申し入れたが、これに応じないので裁判となった。
土地の所有者には、所有権に基づく妨害排除、妨害予防請求権がある。依頼人にも、同じく請求権がある。
教科書や司法試験的にはこれで終わりである。しかし、現場は違う。がけと擁壁の高さが5メートルもある。これは相当厳しい高低差である。
建築基準法上、2メートルを超える擁壁は、規制の対象となっている。建築確認が必要であり、法の定める安全性を充足していなければならない。
建築基準法に適合した擁壁を築造するとなると、相当高額の費用と手間・ヒマが必要となる。隣地(がけの上方)の所有者は、これゆえに難色を示しているのである。
隣地の中央にはある自治体の里道が通っている。またその自治体は応急工事も実施している。そこで、当該自治体にもひと肌脱いでもらいたいのであるが、及び腰である。
裁判中も大雨は待ってくれない。今年の大雨によるさらなる被害を心配していた。幸いさらなる被害は生じなかった。なんとか、来年の大雨までには解決したいものである。
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