大楠のあった来宮神社は、JR線の西側の高台にある。そこから熱海湾へ向けてどんどん下る。道はクネクネしているが、とにかく下っていき国道135号線をわたれば、海浜にたどりついた。熱海サンビーチである。残念ながら曇天。沖合にはかろうじて初島が見えている。
箱根路をわが越えくれば伊豆の海や沖の小島に波の寄る見ゆ 源実朝
国道まで戻ればお宮の松。常葉の松だけに紅葉はしていない。が、尾崎紅葉の新聞小説『金色夜叉』で、貫一・お宮の別れの舞台となった。貫一・お宮は熱海の恩人である。熱海が一大温泉リゾート地となったのは、彼らのおかげである。
実は読んだことはない。小説のタイトルから拝金と愛の板挟みとなった夜叉の物語だとは思っていた。しかし銅像のイメージから裏切るのは貫一のほうだと誤解していた。でも違うようだ。貫一だけに。
名文句「来年の今月今夜のこの月を僕の涙で曇らせてみせる」。貫一の呪いのせいなのか、この日の夜も月はなく曇ったままなのであった。
0 件のコメント:
コメントを投稿