NHKで「夏井いつきのよみ旅」という番組をやっている。「ホスト界の帝王」ローランちゃんと旅をしながら、旅先の人々の俳句と人生に触れる番組だ。先日は秋田(前編)だった。
番組のなかで、マタギが秋田固有の季語であるとか、秋田犬がマタギが猟をする際のお供だったとか、2023年は渋谷のハチ公誕生100周年だったという紹介があった。どれも旅しているときは知らなかった。
歳時記で調べても、狩や狩人が季語だということは分かるが、マタギが秋田固有の季語だという紹介はない。レア知識だ。さすが夏木先生。
森吉山、秋田駒、姫神山をめざす旅でも、なんどか秋田犬に触れる機会があった。最初は秋田内陸鉄道の車内で、次は阿仁前田温泉の施設内で。これらは写真や車内デザインだった。
実際に触れたのは、角館と田沢湖畔にて。角館では、店舗の店先でくつろいでいるやつにも出会ったし(上写真)、有料300円で触れあう施設もあった。田沢湖畔もおなじくである。犬好きにはたまらないであろう。
以前にも紹介したけれども、向田邦子の随筆に「反芻旅行」がある。「前の晩にテレビで見た野球の試合なのに、朝必ずスポーツ新聞を買ってたしかめる人を『もったいないじゃないの』と、お金と時間の無駄使いだといったことがあった。その人は、私の顔をじっと見て、『君はまだ若いね』といった。『野球に限らず、反芻が一番楽しいと思うがね』。旅も恋も、そのときも楽しいが、反芻はもっと楽しいのである」。
そのとおりである。旅はとくにそう。行ったときも楽しいには楽しいが、その時の楽しさをあらためて反芻しているときこそ至福の時である。まさに反芻旅行。いましばらくは森吉山、秋田駒、姫神山をめざす旅を反芻し、余韻にひたっていたい。
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