つづら折りの林道をバスがくだっていく音がする。走って行けば追いつけないだろうか、無理か。つぎのバスまで2時間か、なにをして時間を潰そうか。などと思いつつ、そのあたりを行きつ戻りつ。
すると、「秋田駒スキー場まで8km」という標識が目についた。駒ヶ岳八合目バス停のつぎは登山口のバス停である。スキー場はその先にある。登山口のバス停までは8km未満ということだ。
ということは、登山口のバス停までは2時間弱の行程。つぎのバスまで待つ時間と同じだ。天啓か悪魔のささやきか。登山口のバス停まで徒歩で下山することを決めた。もちろん、今朝バスでのぼってくる際にみえた美しい紅葉を嘆賞するためだ。
山頂ちかくは初冬の装いだったが、下るにつれ季節が逆もどりし、秋が深まっていった。くだくだと語るより、写真のほうが雄弁だ。あとは写真にゆだねよう。
ダケカンバ林からブナ、ミズナラ林へ。そしてその樹間にミネカエデなど。ブナの実がたくさん落ちていた。豊かだ。これだけ豊かであれば、クマもお腹がいっぱいだろう。
5合目あたりから6合目あたりにかけて約1時間、紅葉の森を逍遙した。酒は飲まねど、めくるめく紅葉に酔った。
登山口のバス停まで無事下山することができた。秋田駒を5時間で周回登山したのちの2時間の歩きは、下りとはいえちと疲れた。
まもなく乳頭温泉から田沢湖駅へ向かうバスに乗車した。田沢湖畔で途中下車。傾いた秋の日が湖面を美しく輝かせていた。
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