2024年10月8日火曜日

離婚事件(解決)(4)共同親権に関する改正法

 

 2024年5月17日、共同親権に関する改正法が成立した。2年以内に施行されることになっている。

 これまでは離婚後は単独親権制で、別居親は養育費を支払い面会交流をする形で子育てに関与できるだけであった。

 今後は、離婚後の父母が子育てに共同で親権を行使できることになる。制度というのはメリットもあればデメリットもあるものだ。メリットがデメリットを上回るから当該制度は導入される(はずだ。)。

 共同親権のメリットは、①離婚時の親権争いを回避できる、②別居心も積極的に子育てに関わるようになる、③面会交流の実施や養育費の支払いが促進されるなどとされる。

 デメリットは、①児童虐待やDVが継続する恐れがある、②親権者間の連携がうまくいかないと子どもの利益を害するおそれがあるなどである。

 当職は、共同親権制には賛成できない(いまさら言ってもおそいが。)。政府や国会議員の先生がたはやはり離婚紛争の現場を知らないと思う。背景に、シングルマザーによる生活保護の利用を抑制したいなどという政治的思惑(メリット③参照)も透けて見えるため、問題はやっかいである。

 このブログを書くにあたって統計データを見つけることができなかったが、少なくとも以前は離婚する夫婦のうち家庭裁判所の調停を利用する率は数パーセントだったように思う。それ以降、法テラスを利用する人の増加もあり、10パーセントくらいにはなっているだろうか。

 つまり、多くの夫婦は、自分たちで協議して離婚をしているということである。自分たちで協議することによっては離婚できない夫婦が家庭裁判所の門をたたいたり、弁護士に交渉を依頼したりしているのである。

 自分たちで協議できる人たちについて、単独親権なのか共同親権なのかというルールづけをする必要はない。自律的に解決できるからである。そのような夫婦間では、共同親権のメリットとして挙げられた各点は、単独親権制のもとでも実現可能である。

 問題は自分たちで解決できない人たちである。感情的な対立等がきびしく、対話ができない。その結果、手が出たり口が出たりもしがちである。そのような夫婦間においては、共同親権のデメリットとして挙げられた各点、つまり弊害のほうが強くでてしまう。

 とまれ、もう改正法が成立してしまっている。今後は、いままで以上に、児童虐待やDVが継続しないよう、また子どもの利益を害さないよう弁護活動を強化していくしかなかろう。

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