離婚事件では、経済的弱者(現時点では一般的に妻)から経済的強者(現時点では一般的に夫)に対する生活費の請求が問題となる。離婚までの生活費を婚姻費用と呼び、離婚後の生活費を養育費と呼ぶ。前者には配偶者の生活費が含まれるが、後者には含まれない。
以前は、生活費に関する資料を提出したり、手計算でめんどうくさい計算をしていた。が、いまは最高裁が紛争解決を容易にするため算定表というのを用意している。
https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html
表9までが(未成年の子らの)養育費、表10以下が婚姻費用である。未成年の子が1~3人まで、その年齢が15歳以上なのかそうでないのかにより場合分けがされている。
縦軸が義務者(一般的には夫)、横軸が権利者(一般的には妻)である。それぞれ税引前の年収額(会社員か事業者で異なる。)をプロットしてクロスしたところが、適正な養育費ないし婚姻費用であるとされている。
本来はやっかいな計算式があり、特段の事情がある場合などはそれにより計算しなければならないが、一般の夫婦であればこれで足りる。
妻側から相談された場合、夫婦間の協議で俎上にのぼっている養育費・婚姻費用案が、これに照らして低すぎれば増額要求を、高ければ手打ちを奨める。
注意すべきは、裁判所は過去分を認めたがらないことだ。つまり、確とした請求日以降の分しか認めたがらない。内容証明郵便で請求するか、早めに調停を申し立てたほうがよい。
調停申立後も、婚姻費用は先行して進められる。義務者(一般的には夫)側による兵糧攻め作成を防止し、権利者の当面の生活を安定させるためである。
養育費のうち、子どもの入院や大学進学費用など特段の出費は別途協議することになる。調停で解決しなければ、裁判官が審判により決する。
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