2024年10月23日水曜日

森吉山、秋田駒、姫神山をめざす旅(1)阿仁前田温泉

 

 先日は、森吉山、秋田駒、姫神山をめざす旅にでかけた。秋田駒は秋田の山だろうぐらいは推理できるが、その他は九州人に馴染みがなかろう。いずれも日本二百名山。森吉山と秋田駒は秋田県、姫神山は岩手県の山である。

 日本百名山を達成したのち、山好きたちからは「次はどうするのか?」とよく訊かれた。意味は、世界をめざすのか、日本二百名山をめざすのかということである。五大陸の最高峰をめざす人がいる。そこまでいかずとも、キリマンジャロ(アフリカ)、モンブラン(ヨーロッパ)をめざす人がいる。

 また日本百名山の周辺には日本二百名山、日本三百名山という山々が控えている。日本百名山は登山家・文筆家の深田久弥が選定したものだ(他の人が選定したものもあるが、やはり二番煎じ感が否めない。)。日本二百名山は深田クラブが、日本三百名山は日本山岳会が選定したものだ。

 しばらくはさしたる考えもなく、日本二百名山を30ほど登った。海外遠征には時間とお金がかかり、条件が許さないと考えたから。

 30ほどの二百名山は、いずれもいい山々だった。しかし還暦をすぎたころ、あといくつ登れるだろうか、100座くらいだろうかと考えるようになった。そこで日本二百名山のピークハントをやめ、自分がいま一番登りたい山に登ろうと考えをかえた。

 今回秋田、岩手の二百名山3つを登ろうと考えたのは、前々からこの3つは登りたいと考えていたからである。九州から3泊4日で充実した山旅を楽しむにはちょうどよいし。

 秋田にも岩手にも空港があるが直行便は飛んでいない。いずれも羽田からの乗り継ぎが必要になる。福岡から直行便が運行しているのは仙台である。そこでまずは仙台空港をめざした。 

 離陸。これからの旅を思って胸がドキドキする。他方でたちまち里心もふくらむ。機窓からは福岡の街並みが望めた。先日遊びにいった春日公園あたりがみえている。 


 手前のゴルフ場は小郡カンツリークラブだろうか。その奥に筑後平野が広がり、筑後川が貫流している。そのさらに奥には不知火海、雲仙がいつもであれば見えるのであるが、きょうはガスが濃いようだ。


 (中略)

 角館駅である。角館まではJR秋田新幹線こまちで。角館からは秋田内陸縦貫鉄道秋田内陸線に乗り換える。写真右の柵向こうがJR線である。ご多分にもれず、採算がとれないということで、切り離されてしまったのであろう。

 仙台空港へは台湾からの直行便も運行しているので、台湾からとおぼしきツアー客がいっぱいだ。こちらの方面の観光はいま開拓中のようすで、はじめてだというツアーガイドが何人も駅員に情報を確認している。

 秋田内陸線は、角館と鷹巣を結ぶ。そう言われても、やはり行ったことのない九州人にはピントこないだろう。岩手盛岡と秋田を結ぶ途中に角館がある。秋田と青森を結ぶ途中に鷹巣がある。田沢湖の西隣を走っている。

 台湾からのツアー客のみなさんはみな陽気だ。台湾情勢に落とす影などないようだ。互いにワイワイ会話するだけでなく、降車の際には運転手さんとも2ショット撮影をするなど日本人との交流にも積極的だ。小さくてすぐれもののゴープロカメラで、もの珍しそうに日本の田園風景を撮影している。

 角館から3つ目に八津という駅がある。田沢湖の最寄りとなっている。台湾からのツアー客のみなさんはみなそこで下車した。彼らがチャーターしたとおぼしき大型観光バスが2台、駅に待機していた。よき旅をつづけてくだされ。

 日本の旅行会社だと、ツアー客は仙台空港からバスに乗せられ、十和田湖まで一直線だろう。しかし台湾方式のほうが絶対楽しい。仙台空港線、東北・秋田新幹線、秋田内陸線と乗り換えて日本と日本人との交流を深めたうえでのバス旅である。案内役はたいへんだろうけれども。
 

 ツアー客がいなくなり寂しくなった車内は秋田犬推しである。車内いたるところに犬の写真が飾られ、座先の意匠も秋田犬で徹底している。

 車中には内陸線存続を願う地元の中高校生が多数出演する番組が流されていた。
 

 途中、笑内駅があった。なんと読むか?わらわない?正解は「おかしない」である。関西人には生きにくいところのようである。
 


 3両列車はトンネル、谷間、峡谷を進んでいく。谷間の峡谷を通過する際には進行速度を落とし、写真撮影の便宜をはかってくれる。


 阿仁合駅で後ろ2両を切り離し、1両だけとなる。駅舎は4と4を会わせたしあわせ(4あわせ)なデザインである。阿仁はマタギの里である。マタギとは東北や北海道で厳しい規律のもと集団で狩りを行う者たちである。つまりは、クマが多い地域である。だいじょうぶか?
 

 阿仁前田温泉駅で下車した。駅舎が宿泊施設であり温泉である。きょうはここで泊まる。きょうは移動しただけなのであるが、すでに日が西に傾いている。


 近所を散策。この1000年で、今年ほどこの花(実)の名を聞いた年はなかったであろう。


 

 花も木もマンホールにさえ、出羽の奥地までやってきたという感慨と旅情を感じる。
 

 川縁まで行くと、森吉山(1454m)がみえた。美しい稜線を左右に広げている。紅葉も美しそうだ。

 ・・・残念ながら、明日は大雨の天気予報である。明日は登れないだろう。山は逃げない。またの機会をうかがうとしよう。


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