離婚の場合に頭を一番頭を悩ませるのが、いわゆるドメスティック・バイオレンス(家庭内暴力、DV)対策だ。
DV対策については、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」がある。警察をはじめ諸機関との連携によりDV対策を行うことになる。弁護士がやることは、保護命令(接近禁止命令)を得ることである。
保護命令のハードルはそれなりに高い。過去に暴行・脅迫(以下「暴力」と略す。)を受けたこと、将来に向けて暴力を受けるおそれが大きいことが要件であり、それを立証する必要がある。
過去の暴力については、医師による診断書や写真などで立証することになる。将来に向けて暴力を受けるおそれが大きいことはラインのやり取りや、過去の暴行等の回数や対応で証明する必要がある。
実際、夫のDVを訴える相談者は多いが、保護命令まで至る人は少ない。前記ハードルがあるからである。
保護命令が使えない場合、内容証明郵便を使い、弁護士名で接近禁止等の警告を与えることになる。裁判所による命令ではないが、一般人には裁判所による命令と弁護士による警告の違いもはっきりしないことも多い。
もともと暴力は刑法で禁じられている。従来、法は家庭に入らずという考えが強かったので、妻からの訴えに警察が冷淡であったにすぎない。「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」は、この点の認識をあらため、たとえ家庭内であっても暴力は暴力であると宣言したことに意義があるともいえる。
保護命令にせよ、弁護士の警告にせよ、その効果は夫側のパーソナリティに依存することになる。本当に病的な性格である場合、保護命令であっても効果がうすいこともある。
それ以外の一般的な暴力亭主は、いわゆる内弁慶が多い。その場合、妻には暴力を振るうが弁護士の言うことは聞いてくれる人なので、DVが収まることが多い。
今般解決した3件のうち2件も当初DVの訴えがあった。が、保護命令を利用しないで解決することができた。
DVに悩んでいる人は日頃からの証拠保全をお奨めする。この点はDV対策にかぎらないのであるが。
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