あけぬれば暮るるものとはしりながら
なほうらめしき朝ぼらけかな 藤原道信朝臣
夜が明けるとまたいずれ日が暮れるときがくるものだとはわかっていても、やはり恨めしい朝ぼらけだなあ。
百人一首52番の歌。道信は「光る君へ」には登場していない。が、同時代人である。きのうの四納言・公任(町田啓太)らと親しかった。
おなじく四納言・斉信(金田哲)の弟である。つまり、源為光(阪田マサノブ)の子であるが、兼家(段田安則)の養子になっている。
兼家が薨去したあと、詮子(吉田羊)のもとで詠んだ歌。
女院にてあさがほを見給ひて
あすしらぬ露のよにふる人にだに
猶はかなしとみゆる朝がほ
奥ゆかしい性格。婉子女王に懸想した。が、同女は実資(ロバート秋山)と結婚してしまい、衝撃を受けた(秋山に負ければ、そりゃショックだろう)。女王に送った傷心の歌。
あるところに、うらやましきことをききてきこゆる
うれしきはいかばかりかは思ふらん
身にしむものにぞ有りける
かれも若死、23歳だった。臨終に際しての歌
くちなしの色にやふかくそみにけん
思ふ事をもいはでやみにし
※現代語訳等は『ビギナーズクラッシック日本の古典 百人一首(全)』谷知子編によった。
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