2023年1月27日金曜日

ある交通事故損害賠償請求・交渉事件(車両価格、後遺障害認定、整骨院治療費)

 


 ある交通事故による損害賠償請求事件について、示談解決の運びとなった。主な争点は3つ、車両価格、後遺障害認定、整骨院治療費である。

追突された側で受任。責任は追突した側が100%、過失相殺はない。医療過誤などと比べて交通事故の話が容易であるのは自賠責法があるから。追突の場合はその議論も必要ない。

問題は損害論。まず物損。修理代が車の値段より高くなると、保険会社は車の値段しか認めない。そうすると、車の値段はいくらかということになる。保険会社はレッドブック(中古車の価格本)にしたがい損害額を提示。

むかしはこれで終わりだったけれども、最近はネットの発達により中古車市場が形成され、われわれも簡単に検索することができる。当方はこれで提示。保険会社もこれを認め、依頼者の納得も得られたので、物損はこれで解決。

つぎは人損。整骨院の治療費が問題となった。保険会社は、整形外科の治療費は3か月以内であれば原則としてこれを認める。しかし、整骨院の治療費は整形外科医の処方がないとこれを認めない。整骨院だって、柔道整復師法によるれっきとした国家資格であるが、一段低くみられているのである。

本件では、仕事帰りに通院するのに、整形外科の診療時間に間にあわず、やむを得ず整形外科医の「許可」を得て、整骨院で治療を受けていた。

ところが、保険会社の照会に対し、整形外科医が「許可」はしたが「指示(処方)」はしていないなどと回答したらしく、紛争化した。保険会社は整骨院への支払いをしないまま推移し、依頼人は焦燥した。

最後に問題になったのは後遺障害認定。整形外科医は腰椎捻挫等の症状がなお残っているとして後遺症診断書を作成した。事前認定はいったん後遺障害の認定を否定。

不服申し立てをおこなった。当初救急搬送された病院、その後の整形外科、またその後の整形外科などから診療録等をとりよせた。また医師の意見書もとりつけた。・・結果、後遺障害14級の認定となった。

さてこれに基づく示談交渉。保険会社もせからしいと思ったのか、整骨院治療費も認めてきた。依頼者も喜んでくれた。「先生には感謝しかありません。」と。

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