四王寺山歩きは、だいたい大宰府政庁跡からスタートする。いまの行政区である太宰府市という場合は「太」を使うけれども、昔の行政区である大宰府をさす場合は「大」である。ちなみに「宰」はつかさどるという意味。大きくつかさどるのか、太くつかさどるのか。
いつもは南の朱雀の入口側から、四王寺山を背にした正殿跡側をのぞむ。けれども、この日は横から記念碑と西の藏司丘陵側をのぞんでみた。背後は月山丘陵。その影が前面を覆っている。藏司丘陵に日が当たってクローズアップされ、海に浮かぶ島のようだ。
九州は北部もだいたいシイ・カシの常緑広葉樹林帯だ。常緑広葉樹はまたの名を照葉樹という。香椎照葉はこれからきている(と思う。)
常緑樹(照葉樹)は冬も葉が落ちない。葉の表面がツルツルしていて、日光を反射して照るので照り葉。表面がクチクラと呼ばれる脂質ポリマーでキューティクルされている(クチクラとキューティクルは同じ語源)。
人の手が入っていないところはシイかカシの樹ということだ。冬も暗いめの色の緑の森を形成することになる。
大宰府政庁跡の西側の側道には、桜が植えられている。桜は落葉樹だ。春だけでなく秋の紅葉も楽しめる。路側にはすでに落葉がたまっている。東側から日が差し込み、路がゼブラ模様になっている。
西側の側道を北に詰めると、政庁跡の北西角に神社がある。令和の名の由来となったといわれる坂本神社である。大伴旅人が梅花の宴を催した大宰府の長官屋敷跡と推定されている地の一つ。発掘調査の結果は否定側に傾いているようだ。
その前をさらに北に進むと、四王寺山の登山道となる。途中で右に入ると岩屋城跡を経るコースもある。しかし、この道をまっすぐ登る。
途中、沢を登るところもあり、変化に富んでいる。四王寺山にはいくつも登山道があるのであるが、このコースは登りに利用するとよいだろう。下りだと、沢の部分は足下に注意が必要だ。
土塁のあるところまで登りつめると、そこからは稜線の周回路となる。いわゆるお鉢めぐりだ。周回路の両側の樹が道を覆い、トンネルのようになっている。ここでも日がまだらに射し、美しい樹影を見せている。
お鉢めぐりの周回路はよく踏まれていて、楽しい山歩きが楽しめる。ただし、ところどころ注意をしないと、いつのまにか意図したところとは違うところへ出てしまう。
周回路にはところどころ展望所が用意されている。南向きの展望所からは筑紫野や大野城市の市街が広がっている。その向こうには天拝山、九千部山、そして背振の山塊をのぞむことができる。そして青空。東側はレースのような薄雲がかかっている。開放感にすかっとする。
四王寺山は標高が400m程度なので、稜線部もだいたい常緑樹林帯がつづく。しかし、北側の小石垣城門跡から先まで行けば、紅葉が楽しめる。一つの枝の葉が、緑から黄色、橙・オレンジ、赤ととりどりに変化して美しい。そして一部に日が射し、部分的に輝かしている。
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