2022年6月6日月曜日

六月博多座大歌舞伎


  雨の日と日曜日は博多座。ということで、大歌舞伎の観劇。コロナ禍後、初かな。お客さんもやや少なめ。

昼の部の演目は、橋弁慶、鷺娘、義経千本桜からすし屋の段。鎌倉殿の影響だろうか、義経にはじまり義経に終わる。間奏は菊之助の鷺姫。暗闇でしか見えぬものがある、暗闇でしか聞こえぬ歌がある。カムカムの桃剣さんと同一人物とはおもえぬ女方舞踊。

義経千本桜といいつつ、すし屋の段には義経はでてこない。でてくるのは死んだはずの平維盛。絶世のイケメンだったらしい。鎌倉殿では濱正悟が演じていた。

死んだはずというのは、平家物語によるから。一の谷の戦から戦線を離脱した維盛は熊野灘で補陀落をめざして自死したことになっている。しかし、そこははっきりしないらしい。そのため、義経千本桜の作者らの創作意欲を刺激のだろうか。

すし屋の段の主役は維盛でもない。すし屋のドラ息子のいがみの権太。かれは母は騙してお金をせびりとったり、親不孝の数々。この日は父親がかくまっていた維盛とその妻子を鎌倉方に売り渡してしまう。これに怒った父は彼を斬ってしまう。

・・・。刃傷で息も絶え絶えとなった権太は、大どんでん返しの真相を語る。ここは菅原伝授手習鑑の寺子屋の段によく似ている。江戸期の庶民はこのような、ほんとうは自己犠牲で義理堅い、どんでん返し、取り返しがつかない、といった場面が好きだったんでしょうね。

ちなみに、「維盛」を追い、その首を受け取った鎌倉殿の武将は梶原景時。演じるのは中村芝翫。私生活も忙しいらしい。NHKドラマでは中村獅童がしぶく演じている。

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