2022年6月24日金曜日

ネムの花

 


 この時期雨のなか、福岡市内の街路樹にネムの花が咲く。花を見ると、おくのほそ道・象潟の段を思い浮かべる。そして美女のおもかげに魅かれて鳥海山に登りたくなる。

江山水陸の風光数をつくして、いま象潟に方寸を責む。酒田の湊より東北の方、山を越え、磯を伝ひ、いさごをふみてその際十里、日影ややかたぶくころ、汐風真砂を吹き上げ、雨朦朧として鳥海の山かくる。闇中に模索して「雨もまた奇なり」と・・風景一眼の中に尽きて、南に鳥海、天をささえ、その陰うつりて江にあり・・俤松島にかよひて、また異なり。松島は笑ふがごとく、象潟はうらむがごとし。寂しさに悲しみをくはえて、地勢魂をなやますに似たり。

 象潟や雨に西施がねぶの花


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