もともと最高裁判所も裁判業務のIT化を進めたいと考えていました。
昨年から、新型コロナ禍の三密回避ということもあり、IT化が加速しています。
われわれの業務も、弁護団会議はズームで、家庭裁判所の調停は電話会議で、地方裁判所の準備期日はチームスで、というようにオンライン化が急速に進んでいます。去年のいまごろは想定しなかった変化です。
先日などは、さいたま地方裁判所で証人尋問があったのですが、わたくしだけが浦和まで出張し、わが依頼人と証人は福岡地方裁判所に出頭して、ビデオ尋問をやりました。はじめての経験でドキドキしました。リアルだと、裁判官や相手方の表情や言外のコミュニケーションまで察知できるけれども、電話会議だとそれができないのが難点だったりします。でもそんなことは言ってられません。
リアル調停だと、こちら側と相手方と交互に話しを訊かれます。相手方が話しをしているときは、こちら側は待合室で待機することになります。家庭裁判所の待合室は、いま、コロナ対策のため、開放されています。そのため、この季節は寒くてしょうがない。できれば、ぬくぬくの事務所で執務したいものです。
こうしてオンライン業務は、新型コロナ禍のなか、概ね便利なツールとして機能しています。しかしながら、人間のやることですので、ときには悲劇を生んでいるようです。
隣の席は井上弁護士が執務しています。きのうも昼から、損害保険会社とたくみに交渉をしていました。御社の提案はわかりますが、あとで自賠責保険から補填を予定していることを考えれば、この程度の慰謝料は認めていただいてもなんの問題もないものと考えます・・とかなんとか。実にソフトにそつなくこちらの要求を伝えている・・・。
夕方になって、いやいやいいんです、でも、わたし忘れられていたんですか?・・いやいやいいんです、でも、わたし忘れられていたんですか?・・。
珍しく隠そうとしても感情があらわになってしまっている。いつものソフトでそつないコミュニケーション術には見られない対応。
どうしたのだろう?
訊くと、電話会議で家事調停をやっていたところ、いつまで経っても折り返しがないため、こちらから問合せの電話をかけたらしい。そして、書記官の狼狽ぶりからして、どうもこちらへの連絡を失念したまま調停手続が終了してしまっていたらしい。
あはは。そういうこともあるよね。
と思うけれども、いままでの人生、そういう目にあったことが少なかったと思われる井上弁護士の落ち込みようは・・・。
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