2012年1月31日火曜日
宝満山の名は? by.山歩きの好きな福岡の弁護士
(山頂の岩。「宝満山上宮碑」)
さてきょうは婚活話からやや脱線して
宝満山の名前の由来に関する一考察。
玉依姫(タマヨリヒメ)が鎮座する山であれば
玉依山となりそうですが、そうではありません。
玉依と御笠はほぼ同じ意味なので
御笠山でいいようですが、いまはそう呼ばれていません。
祖母山は豊玉姫が鎮座するところ
豊玉姫は神武天皇の祖母にあたるので祖母山。
豊玉姫と玉依姫は姉妹ですから
大叔母山でもよさそうですが、違います。
玉依姫は豊玉姫の子を養育し神武天皇を産んだとされるので
母山でもよさそうですが、それも違います。
じゃ、なぜ宝満山なのか?
それは玉依姫が別名、宝満大菩薩だから。
日本人にはもともと神を信じていたところ
6世紀に仏教が伝来。
その後神仏は融和し
10世紀初めころには神仏習合。
グローバル宗教(といってもアジア限定でしょうが)である仏教の
日本語バージョンが神道であると理解されるように。
日本では玉依姫と名乗る神も、仏教の本地インドでは
宝満大菩薩であるとの理解だったんですね。
太宰府市が建てた中宮跡の説明板によると
「この山の本地仏十一面観音」とあります。
こうして1000年くらいは神仏の仲がよかったのですが
明治維新ののち仲違いして神仏分離、廃仏毀釈に。
宝満山の7~8合目にあった中宮も
廃仏毀釈の憂き目に。
十一面観音をまつっていた大講堂はとりこわされ
中宮跡は茅野になりました。
かくて神仏分離、廃仏毀釈により
玉依姫≠宝満大菩薩となったはず。
でもそこは日本人の宗教的おおらかさでしょうか
宝満山の名は残ったんですねぇ。
ま、先に挙げたどの候補よりも宝満山。
なんとなくリッチな気持ちになれますよね。
ちくし法律事務所 弁護士 浦田秀徳
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