2012年1月18日水曜日

「運命の人」(2) by.山歩きの好きな福岡の弁護士



 きょうは早朝から西鉄電車が人身事故のため止まり
 ブログを書く時間があまりありません。

 時間がないときはプライオリティをつけ
 大事なことから処理する必要があります。

 でもブログを書くうえで
 大事なことってなんでしょう?

 大事なことを話していたのに、小さなことだけど気になるネタで
 話がズレてしまった経験がありますよね。

 またマスコミの報道をみていて、大事なことが議論されるべきなのに
 スキャンダルばかり報道されていると感じることもありますよね。

 西山事件はそんな経過をたどります。
 小さなスキャンダルに目を奪われ、大きなものを失ってしまう…。

 このとき、大きな問題としては
 つぎの2つの問題があったと思います。

 ひとつは、沖縄返還協定の裏に密約があったのかどうか?
 政府がないと説明した密約はほんとうになかったのか?

 もうひとつは、ジャーナリズムが政府のウソを追求する自由
 ひいては国民の知る権利が保障されるのかどうか?

 知る権利は、憲法21条が保障する表現の自由に含まれる
 重要な人権です。

 でも論争点はそこからズラされ、西山記者が情報を入手した方法が
 倫理的かどうかというスキャンダルにすり替えられてしまいます。

 一般の会社で株主に内緒で400万ドルないし3000万ドルもの
 裏金を相手方に支払えば背任、横領が成立する疑いがあります。

 また社長が株主に対し、そんな金を支払っていませんと
 株主総会でウソの説明をすれば、それもやはり大問題でしょう。

 一般の会社・社長・株主だろうと、国・政府・国民だろうと
 このことに違いはありません。

 政府がこのようなウソをついているときに
 そのウソをあばくのがジャーナリズムの役目でしょう。

 ジャーナリズムがこの役目を果たすことにより
 われわれの主権者・有権者としての知る権利も満足が得られます。

 これこそが大きな問題で
 大きな問題は大きな問題としてきちんと議論すべきだったでしょう。

 ところが取材の方法が倫理的でない!ダブル不倫だ!とかいわれると
 まんまとそれにひっかかっちゃうんですねぇ。

 「そんな下ネタ、いま関係ないでしょ!(別に議論しましょ!)」と
 誰か言ってくれなかったのでしょうか?
 
 この事件の後、毎日新聞は、本スキャンダルを理由とした
 不買運動により発行部数が減少、全国紙の販売競争から脱落。

 また以後、大手メディアの政治部が国家機密に関わる事項について
 スクープするということがなくなったらしい。

 ほんとうに大きな運命の事件
 天下分け目の事件だったんですね。

           ちくし法律事務所 弁護士 浦田秀徳

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