2011年8月16日火曜日

 「困ってるひと」



 ブックレビューはひさしぶり。
 本を読んではいました。

 ですが、ひとさまに心から紹介したいと
 思える本には出会えぬまま幾年月…。

 「困ってるひと」(大野更紗さん・ポプラ社)
 これは一読をおすすめします。

 「ムーミン谷」こと福島県の山村から上智の仏文に入った女子が
 ビルマ難民の人権に関心をもち大学院に進学したところ

 自己免疫疾患の難病に罹患。
 まいにち生きるのがやっとであるだけでなく死ぬほどの苦痛の連続。

 かくて難民を観察する立場から難病と医療の難民という当事者へ。
 そこは日本の難病患者が置かれた劣悪な社会保障・福祉の谷間。

 しかしさすが、苦難と不遇を嘆くだけでなく
 観察者魂を発揮して難病患者や医療スタッフに対するフィールド調査を実施。

 なによりすごいのは
 全編、強靱な意志とユーモアに裏打ちされていること。

 われわれが日常の細々したことに悩んでいることが
 とても恥ずかしいことのように思えてしまいます。

 繰り返しになりますが
 ご一読をおすすめします。
 

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