2011年8月11日木曜日

 壁を越えて



 養老孟司さん(東京大学名誉教授)の著書に
 『バカの壁』(2003年)があります。

 帯に「『話せば分かる』なんて大ウソ!」とあるとおり
 氏は「人間同士が理解しあうというのは不可能」

 「理解できない相手を、人は互いにバカだと思う」
 とおっしゃいます。

 養老さんは解剖学者。東大の解剖学者にしてこれですから
 われわれ弁護士の仕事が困難なのは推して知るべしです。

 弁護士の仕事は誤解されがちですが
 われわれが一貫して追及しているのは話し合いによる解決です。

 行くところまで行って、それでも話がつかないときには
 やむなく裁判、判決、強制執行ということになります。

 それゆえ、ご依頼を受ける際は、一般に、まずは交渉
 すなわち、話し合いによる解決を引き受けます。

 昨日もある労働事件を話し合い
 解決への道筋をつけることができました。

 裁判ともなれば、時間、費用、労力、心労など
 大変な負担がかかります。

 話し合いによる解決をすることができれば
 このような負担を回避することができます。

 しかしながら、養老先生がおっしゃるように
 相互理解はなかなかに難しいものがあります。
 
 そもそも弁護士の仕事は理解されていません。
 もめごとを大きくするものだと誤解されています。

 紛争に介入しただけで
 なぜ弁護士が入ってくるんだ!と叱られます。

 われわれは紛争を法律に則り
 合法的に解決したいだけです。

 相手方にも弁護士がついてくれると
 歓迎です。

 過度に感情的にならず、無用な猜疑心も捨て
 紛争の解決に必要な事柄にしぼって話ができるからです。

 理解できにくいかもしれませんが
 弁護士は基本的に平和主義者です。

 紛争の早期かつ円満な解決を常に願っています。
 そこのところご理解いただきますようお願い申し上げます。
 

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