京都駅ビルでみかけたスタバのロゴマーク
『ユリシーズ』第2巻目次
スタバのロゴマーク。セイレンをデザインしたものと、最近知った。そういわれれば、そうだ。
セイレン。古代ギリシア神話に登場する海の怪物。人魚のような半人半魚の姿。美しい歌声で船人を惑わし、船を座礁させる。救急車などに使われるサイレンの語源である。
英雄オデュッセウスは、トロイア戦争を勝利に導いた。戦後、ギリシアへ帰還する航海の途中、セイレンのいる難所を通過しなければならなかった。
耳栓をすれば難を逃れられるが、人を虜にするという美しい歌も聴いてみたい。知恵者オデュッセウスは、他の船員には耳栓をさせ、自分だけ帆柱に縄でしばりつけさせて、セイレンの歌を聴いた。歌を聴いた結果、「縄を解け!」「セイレンのところへ行かせろ!」と大騒ぎになったことはいうまでもない(『オデュッセイア』)。
20世紀最大の小説といわれる『ユリシーズ』。ユリシーズはオデュッセウスの英語読みである。『オデュッセイア』を下敷きにしているから、11章には「セイレン」の話が出てくる。
舞台はオーモンド・ホテルのバー。ブロンズとゴールドの二人の女給がセイレンに擬され、男たちがその魅力に惑わされる設定である。しかし、そこはジョイスであるから、男衆もそう簡単に挫傷しない。
スタバのロゴは、もちろんセイレンの伝説を踏まえている。珈琲の香りで道行く人たちを誘惑するため、セイレンを採用したらしい。
これまでスタバにこだわりはなかった。が、この話を知った以上、その誘惑に乗って挫傷することが多くなりそうだ。耳栓ならともかく、鼻栓はかっこ悪いし。
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