2011年11月4日金曜日

 アボガドはむずかしい



 (以下、『おおきなかぶ、むずかしいアボカド』の
 ネタバレあります。ご注意ください。)

 世の中にはむずかしいことがたくさんある。
 いちばんは、アボガドの熟れ頃をいいあてることだ。

 ハワイのキラウェアという町には、これを
 完璧に言い当てる太ったおばさんがいる。

 この町で、村上春樹さんは映画『ミスティック・リバー』を見た。
 終わりちかくで突然フィルムが炎上して、ぷっつん。

 誰かが立ち上がって、「おい、いったい犯人は誰なんだよ?」
 と叫んだ。すると、他の観客みんなが爆笑した。

 昭和30年代の日本の映画館にもこんな親密な雰囲気があった。
 以上が村上さんのエッセイのいちぶ抜粋。
 
 たしかに、映画もつくった側からの一方通行より
 観客と双方向のコミュニケーションがあったほうが断然おもしろい。

 長野岩戸神楽の『柴引荒神』がなぜ盛り上がったからといって
 観衆と一体となった「親密な雰囲気」の劇だったからでしょう。

 村上さんはこの「親密な雰囲気」を昭和30年代に限定しているけど
 少なくも福岡の映画館では、ときにこのような体験をすることがある。

 映画中で、役者がダジャレをいったときに
 自分だけ心のなかでクスリとするのでは、やや寂しい。

 ここはやはり会場のみなさんと、「どっ。」といきたい。
 笑いも共有することで、得られる快感が倍増しますから。

 そういえば、ロンドンで『マンマ・ミーア』を観劇したときのこと
 直前に映画を見て予習をしていきました。

 それで、筋やセリフはだいたい理解できたのですが
 笑いのツボはさっぱり。

 ロンドン子たちはひっきりなしに『どっ。」と沸いています。
 笑いを共有できず、とても寂しいおもいをしました。
 
 世の中にあるむずかしいことのうち
 ボクが考えるいちばんは、紛争をなくすこと。

 世界の人びとが笑いのツボを共有できるようになれば
 紛争はもっと減るのでしょうね。
 

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