(以下、『おおきなかぶ、むずかしいアボカド』の
ネタバレあります。ご注意ください。)
世の中にはむずかしいことがたくさんある。
いちばんは、アボガドの熟れ頃をいいあてることだ。
ハワイのキラウェアという町には、これを
完璧に言い当てる太ったおばさんがいる。
この町で、村上春樹さんは映画『ミスティック・リバー』を見た。
終わりちかくで突然フィルムが炎上して、ぷっつん。
誰かが立ち上がって、「おい、いったい犯人は誰なんだよ?」
と叫んだ。すると、他の観客みんなが爆笑した。
昭和30年代の日本の映画館にもこんな親密な雰囲気があった。
以上が村上さんのエッセイのいちぶ抜粋。
たしかに、映画もつくった側からの一方通行より
観客と双方向のコミュニケーションがあったほうが断然おもしろい。
長野岩戸神楽の『柴引荒神』がなぜ盛り上がったからといって
観衆と一体となった「親密な雰囲気」の劇だったからでしょう。
村上さんはこの「親密な雰囲気」を昭和30年代に限定しているけど
少なくも福岡の映画館では、ときにこのような体験をすることがある。
映画中で、役者がダジャレをいったときに
自分だけ心のなかでクスリとするのでは、やや寂しい。
ここはやはり会場のみなさんと、「どっ。」といきたい。
笑いも共有することで、得られる快感が倍増しますから。
そういえば、ロンドンで『マンマ・ミーア』を観劇したときのこと
直前に映画を見て予習をしていきました。
それで、筋やセリフはだいたい理解できたのですが
笑いのツボはさっぱり。
ロンドン子たちはひっきりなしに『どっ。」と沸いています。
笑いを共有できず、とても寂しいおもいをしました。
世の中にあるむずかしいことのうち
ボクが考えるいちばんは、紛争をなくすこと。
世界の人びとが笑いのツボを共有できるようになれば
紛争はもっと減るのでしょうね。
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