2011年7月26日火曜日

 弁護士の仕事



                       (西天狗岳@八ヶ岳)

 お客さまからよく、専門は民事か刑事か
 訊かれます。

 これに対し、刑事と答える弁護士は少数派でしょう。
 私も民事とお答えしています。

 国選事件を除けば
 一般市民でも起こしがちな、自動車運転に関する犯罪が主ですから。

 民事法というのは
 債権の成立と実現に関することが決められています。

 不動産の明渡し等の一部の例外を除けば
 ほとんどの事件は最終的には「お金で解決」することになります。

 ある精神科医の先生から批判を受けたりしているところですが
 「お金で解決」せよ、というのは法の命ずるところです。

 歴史をひもとけば、その昔は債務奴隷という制度もあったようですが
 このような強制をすると、自由を侵害する恐れがありますから。

 こうして弁護士の仕事は、簡単にいうと、代理人として
 お金を請求したり、お金を請求されたりすることになります。

 お金を請求する側にまわるのか、される側にまわるのかは
 その時々の依頼人の立場によって決まります。

 ある日、裁判所に出かけて、債権者側で弁論し
 債務者側で証人尋問し、債権者側で判決を受けるなんてこともありです。

 法律は強者(債権者)のための制度だなどと批判されることがあります。
 たしかに、そういう面もあります。

 しかし債権者側から見た法律は、いろいろなハードルでもあります。
 最終的には財産に対する強制執行しかできないというのも制約です。

 「お金を持っていない人がいちばん強い。」という言葉があります。
 ほんとうの経済的弱者にとっては強制執行も怖くありません。

 私も市民法律講座などで「経済的弱者のための法律論」など
 というテーマで話をさせていただくこともあります。

 正義の女神は、目隠しをして剣ををもつ怖い存在ですが
 もう一方の手には秤(はかり)を持っています。

 うまい具合に、債権者の利益と債務者の利益のバランスが
 とれているように思います。
 

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