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2023年6月2日金曜日

100周年記念式典に参加して

 

 顧問先の私立学校が創立100周年をむかえたということで、来賓として記念式典に呼んでいただいた(ひな壇上で緊張した。写真)。

教員、生徒のほか、PTA・来賓など多数参加。体育館のなかは500人くらい。生徒さんたちは代表だけで、あとは教室からオンライン参加。

100周年であるから、創立は100年前の1923年=大正12年である。大正デモクラシーの息吹に呼応したものだったのだろう。学校理念は「人を愛し ひとに愛される人間」。

創立の後、第2次世界大戦、高度経済成長、停滞、情報化、コロナ禍、ウクライナ戦争など政治・社会・経済環境は大きく変化した。

そうしたなか、学業はもちろん、野球・サッカーをはじめとするスポーツや美術・デザインの分野でも活躍されている。今年は受験者数・入学者数も過去最高といわれる。

近年、100年企業という言葉がしきりに言われる。一般企業はその特徴に学べということだが、第一は理念がしっかりしていること。生徒さんたちの笑顔をみて、学校理念の正しさを実感した。

わがちくし法律事務所も来年、ようやく40周年。地域に根ざし、自由と正義に貢献することを理念として活動してきた。100周年を自分で経験するのは難しかろうが、50周年まではなんとか頑張りたいものだ。

2022年6月16日木曜日

人生における引越-幸せを求めて


(花言葉:移り気)

 九州国立博物館でおこなわれていた「北斎展」が終了した。北斎は天才肌だと思っていたけれども、90歳まで生き、最後まで努力の人であったことに感銘を受けた。有名な「神奈川沖裏波」の画もパッと描けたわけではなく、それに至る数々の挑戦があったことが分かった。

北斎は他方ですごい引越魔だったらしい。人生で93回、ひどいときは1日に3回も引越をおこなったという。海外でいえば、ベートーベンも引越魔だったらしい。かれらは天才というギフトと引き換えに、環境にうまく馴染めない、あるいは、世俗的な忍耐力に乏しいという性格でもあったのかもしれない。平々凡々な人生のほうがよいような気がするのは、わが凡人の凡人たるゆえんか。

日本弁護士連合会の月間誌『自由と正義』に、中原阿里弁護士が「幸せって何だろう?」という文書を書いている。同弁護士の経歴がすごい(女性の年齢を書いてよいものか迷うが、ネット情報によると50歳)。

大学卒業後、社長秘書から給食調理員まで様々な職を経験。中でも5年間、大学の医療事務職を勤めた。そこで社会的支援の重要さを思い知り、法知識ゼロからロースクールをめざし弁護士に(このとき40歳)。

弁護士になって、改めて「幸せとは何か」を問い直し、ウェルビーイングという言葉に出会う。それは肉体的、精神的、社会的に充たされた状態をいう。

心の幸せを理解したいと思い、臨床心理学、発達心理学、行動経済学、ポジティブ心理学など多様な学びに猛進し、そこからさらにコーチングを学んだ。

コーチングの手法は、傾聴、承認、そして質問。離婚紛争で夫の悪いところに焦点化されていた依頼人の関心を「質問」によって未来へ向け、本当の解決へ向けた回答を引き出すことができたという。

コーチングの魔法は弁護士のウェルビーイングにも効く。「弁護士は感情労働でもあり、依頼者対応や重圧のストレスは侮れず、私自身、心が疲弊しきった時期があります。コーチングを学んでからは聴く疲れが激減し、当事者の負の感情に巻き込まれにくくなりました。私自身を悩ませていた過度な不安癖も手放せるようになりました。一言でいうなら、生きやすくなったのです。」

自身も認めているように、このような転職や関心のありどころの頻繁な変化(いわば人生目標の度重なる引越)には、過度な不安癖も一役かっているだろう。しかしたかだか30年弱の人生でこれほど多様な挑戦をつづけてきたというのもすごい。尊敬します。

2022年4月11日月曜日

事務所春研修ー不易流行


 新年度になった。西鉄電車のなかは、社会人や学生の数が増加する例の現象が発生している。不思議だ。なぜ、春だけ人が増えるのだろうか。

先週金曜日は事務所の春研修だった。毎年、新年度に、前年度の総括と新年度の活動方針を明らかにする。もう20年以上続いている。わが事務所の発展の礎となるもの。

いつもはその年の課題を研修するとともに、前年度の数字をもとに、新年度の各自の目標を協議する。

しかし本年度はちょっと違う。稲村晴夫弁護士が退所されたことを踏まえた会議となった。今後、何を守り、何を変えていくのか。

一言で言えば、不易流行。わが事務所の中核的価値は今後ともなにがあっても守っていく。それでいて、時代の変化に応じ必要なところは変えていかなければならない。

守るべきものの第1は、自由と正義を擁護する、社会と地域に奉仕する、顧客満足の追求など中核的理念は堅持すること。それら理念を堅持することにより、働きがいのある仕事、働きがいのある職場も実現されるはずだ。

守るべきものの第2は、事務局参加を含む民主的な経営の維持、働きやすい職場の維持である。うちは事務局員採用ひとつをとっても、採用担当者がかってに決めたりはしない。全メンバーが参加し、民主的な討議をして採用を決める。志望者にとってはたいへんな作業である。が、そのようなプロセルを経ることにより、全員が納得した採用となり、ワンチームを実現する基礎になっている。

他方、環境は絶えず変化していく。わが事務所も変えるべきところは変えていかなければならない。それは、班会議、事務局会議、弁護士会議、事務所会議という各会議のなかで、民主的な討論を経て決めていくことになる。

稲村晴夫弁護士という事務所のまとめ役、扇の要がいなくなった。その穴を埋めるため、今後はみなが協力して結束していかなければならない。言うは易く、行うは難い課題だ。がんばるしかない。

2013年7月10日水曜日

ひまわりの持ち運び



こちらがいわゆる弁護士バッジです。















正式名称は,
「日本弁護士連合会員章」といいます。

外側には「ひまわり」,
中央には「はかり」がデザインされていて,

「ひまわり」は自由と正義を,
「はかり」は公正と平等を追い求めることを
表しています。



「純金ですか?」
と聞かれることがありますが,

素材は純銀で金メッキが施されています。

ですから,
年数を重ねると金メッキが剥げて,
銀色になってくるわけです。

私のバッジはまだ金色が強いですね。



冬場はスーツにつけておけばいいのですが,
夏場はシャツなので,
このバッジを
“いかにして持ち歩くか”に困ります。

大切なものなので
厳重に保管すべきなのですが,


私は悩んだ挙句,

筆箱

に入れています。



何か良い持ち歩き方はないものでしょうか。

どなたかアイデアをお寄せください。

2011年1月17日月曜日

 「KAGEROU」の密告


 水嶋ヒロこと斎藤智裕さんの話題作「KAGEROU」
 この話題についてはこれまで何度かとりあげましたし
 12月16日には買ったこと、感想を紹介すると予告もしました。

 しかしこの宿題がなかなかに難しい…
 毀誉褒貶うずまくなか、時間ばかりが経ってしまいました。

 「KAGEROU」は爆発的に売れる一方で
 週刊誌やネットでゴウゴウたる批判も浴びています。

 でも批判をよく読んでみると、実は読んでないんじゃないの?
 というものがほとんど。

 (今後は不要な勘ぐりを減らすためにも
 選考過程をもっと透明化する必要があるでしょう。)

 ま、批判したくなる気持ちはよーくわかります。

 天は2物も3物も与えじゃないけど、水嶋ヒロさん一人が
 イケメンで、かっこいい役者で、絢香さんと結婚して
 小説が書けて、2000万円もの懸賞金を辞退したと聞けば
 ふつうの男はオモシロかろうはずはありません。

 こんななか、下手に褒めたりすると
 男の裏切りものとして、今後、いじめの対象にされかねないな…
 という空気が濃厚です。

 しかし、読まずに貶すというのはいかがなものでしょう?

 もてないのはイケメンじゃない等々だからではなく
 本も読まないで他人の悪口をいうような性格だからじゃないの!
 と突っこみたくもなります。

 自由と正義を求める弁護士としては
 なんとしてでも一言いいたいという気持ちでした。

 でも村上さんの「ノルウェイの森」を読んだあとなので
 そのまま感想をのべたのではすこし公正さを欠くと考え

 最近の芥川賞受賞作である赤染昌子さんの「乙女の密告」も
 あわせて読んでみました。

 これはうまい!
 赤染というペンネームは百人一首の歌人・赤染衛門からだとか。

  やすらはで 寝なましものを さ夜ふけて
   かたぶくまでの 月を見しかな

の和歌を詠んだ人
 平安中期に活躍し、和泉式部とならび称されたそうです。

 和泉式部が情熱的な歌風なのに対して
 赤染衛門は穏やかで典雅な歌風だったとか。

 「乙女の密告」は穏やかで典雅とはいえませんが
 本歌である「アンネの日記」を踏まえたうまさが秀逸。

 ということで
 うーん、ますます難しい…。

 と思っていたら、1月9日(日)朝日新聞の読書「売れている本」欄に
 佐々木敦さんが「重い主題 軽い文で淡々と」と題して
 書評を書かれていました。

 さすが批評家、私のいわんとするところが
 ほぼそのまま書かれていました。

 大幅なパクリで申し訳ないですが
 引用させてもらいながら、本宿題の責めをふさぎたいと思います。

 佐々木さんの冒頭は
 「これほど当欄にふさわしい本がまたとあるだろうか?」
 うまいですねぇ。

 本書は発売1か月を経ずして印刷部数がなんと100万部を超し
 日本出版史上に残る大ベストセラーになったわけだから
 「売れている本」欄で紹介するにふさわしいというわけ。なるほど。

 佐々木さんの感想は一言でいうと、
 「率直な感想としては、一部で揶揄されているほどヒドくはない
 むしろ結構オモシロいんじゃないの」というもの。賛成。

 「ヤスオはシリアスな場面でも露骨なオヤジギャグを飛ばし
 地の文にも、そこはかとないユーモア感覚があって
 読者の感情をエモーショナルに喚起するような要素は
 ほとんど皆無であるとさえ言ってもいい。」異議なし。

 問題はその先
 「そのことが批判されているようだが、私は必ずしもそうは
 思わなかった。これは明らかにわざとである。

 この小説の最大の美徳は、泣ける物語を、しかし決してあからさまに
 泣かせようとはせず、やたら淡々と語ってみせたということだろう。」

 うーん?こう判断できるかはちょっと証拠不足
 この点だけ、佐々木さんと見解を異にしました。

 佐々木さんももちろん、最後に注文を忘れません
 「問題はもちろん、二作目であることはいうまでもない。」同感。

 斎藤智裕さんの作家生命がカゲロウの成虫のように
 はかなく終わらないよう、今後の活躍を期待しています。