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2012年11月14日水曜日

いずれ和泉か紫か?






『紫式部日記』(山本淳子=編・角川文庫)
を読んでいる。

もちろんビギナーズ・クラッシクスでだ。
べつにいばっていう話ではないが。

読んでるわけは
こうだ。

かなり込み入っているので,わからないかもしれない。
そのときは…しかたがない。

話しは本ブログの
11月5日の記事までさかのぼる。

読んだ人にはくどくてすみまないけれど
読んでない人のために,あらすじ。

さいきん法律で11月1日が
古典の日とさだめられた。

なぜかというと,『紫式部日記』の11月1日のところに
源氏物語に関する最古の記述があるからだ。

その日,芸事ならなんでもござれの藤原公任が
紫式部に「若紫さん」と呼びかけたらしい。

若紫さんは紫の上の若いころの呼び名で
源氏物語の巻名でもある。

この記事により11月1日は,源氏物語
=日本の古典に関する最古の記述のある日となった。

かくて11月1日が古典の日と
定められたのでした。パチパチ。

さればと思って古典を読んだのだが
ついつい『和泉式部日記』を読んでしまった。

和泉式部は魔性の女と呼ばれるほど
おおくの殿方たちと浮き名をながしているからだ。

おかたいイメージの紫式部より
和泉式部のほうを読みたくなるのは男として人情だろう。

だいたい男が女性関係で失敗するのは
このパターンだ。

………
いやいや,あくまで一般論だ。

ま,とにかく
それが11月5日のブログ記事だったわけだ。

でも,内心じくじたるものが
あった。

『紫式部日記』にもとづき
古典の日が定められた。

古典の日にちなんで
古典を読んでみた。

それがなぜ
『和泉式部日記』なんだ?

やはり『紫式部日記』も読んどかないと
まずくないか?

かくて『紫式部日記』を(も?)
読んでいるわけだ。

いわば,A子ちゃんの誕生会に呼ばれていったのに
気になるB子ちゃんとばかり話してしまい

ちょとしまったかなと思って
アリバイ的にA子ちゃんとも話す,みたいな感じだ。

しかし!読んでみて
衝撃の事実がわかった。

…仕事の時間になったので
つづきはまた。

2012年11月5日月曜日

『和泉式部日記』






11月1日は古典の日
日本の古典文学を顕彰する記念日。知ってました?

なぜ11月1日かというと,『紫式部日記』の
寛弘5年11月1日の記述が根拠。

その日,藤原公任が紫式部に
「あなかしこ、このわたりに若紫やさぶらふ」と語りかけたらしい。

公任は,太政大臣までつとめた政治家で歌人
百人一首の歌はご存知でせう。
滝の音は たえて久しく なりぬれど
     名こそ流れて なほ聞こえけれ
さきの『大鏡』にも
「三船の才」をもつ人として紹介されています。

三船とは,道長が大堰川に浮かべた
漢詩の舟、管絃の舟、和歌の舟のこと。

それぞれの分野の名人を乗せたのですが
道長は公任に「どれにしますか?」と尋ねたとか。

公任が3分野ともに秀でていて
それを道長がほめたというエピソード。

若紫は,源氏物語の巻名
幼い紫の上のこと。上記場面では紫式部をさしています。

いまでいえば松山ケンイチのことを野田総理が
ふざけて「平清盛どの!」と呼ぶようなもの。

古典の日は,この記述が『源氏物語』に関する
歴史上はじめてのものであることから。

と,こう説明しても,なかなかピンとくる人がすくなかろう
という由緒でございます。

法律で
国の記念日となっています。

国にとやかくはいわれたくない気はしますが
乗せられやすいボクは一冊よんでみました。

『和泉式部日記』(川村裕子さん編・角川文庫)
やはりビギナーズ・クラシックスのシリーズで。

さきの経過からすると『紫式部日記』を
読むべきかと思います。

が,ちょっと前によんだ尾崎左永子さんの
『王朝文学の楽しみ』(岩波新書)で紹介されていたので。

日記といえば,われわれ庶民にとっては「夏休みの日記」
退屈なものの典型。

日記からわれわれを遠ざけているのは
この根強い思い込みでしょう。

でもなんと
『和泉式部日記』はちょっとちがいます。

恋おおき(10人以上と浮き名をながした)和泉式部
そんな退屈な毎日はおくっていません。

ときには
魔性の女とさえ呼ばれています。

そんな男性遍歴のなかで
トップ・スキャンダルは為尊親王,敦道親王との恋。

ふたりは兄弟
冷泉天皇の子で,三条天皇の弟たち。

日記の冒頭は
もとカレの為尊親王が亡くなって1年たったころ。

敦道親王とのあらたな恋が
スタートするところから。

現代でいえば,…
やめときましょう。

でも週刊誌を毎週にぎわす
トップニュースであることはまちがいなし。

古典ってこんなに面白かったんですねぇ~
では,さよなら,さよなら,さよなら…(淀川長治ふう)。