2025年9月18日木曜日

記憶と向き合うということ -『遠い山なみの光』を読んで(1)

こんにちは。ちくし法律事務所です。
朝晩に秋の気配が感じられるようになってきました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。

先日、久しぶりに読書の時間をとり、カズオ・イシグロ氏の『遠い山なみの光』を読みました。代表作『日の名残り』の静謐な語り口と深い内省に心を打たれたことから、続けて手に取った一冊です。


遠い記憶と、言葉にされない痛み

『遠い山なみの光』は、戦後の長崎を舞台にした物語であり、英国に住む元日本人女性エツコが、娘の死をきっかけに、自身の過去を回想する形で語られていきます。

作中には、はっきりと描かれない「不穏」や「後悔」が静かに横たわっていて、読後には、何か大きな問いを投げかけられたような感覚が残りました。

特に印象的なのは、「語られないこと」の存在です。
人は、過去の出来事をどう語るかではなく、何を語らずにいるかによって、自分を守ろうとするのかもしれないと感じさせられました。


法律相談の現場にもある、“語られないこと”

私たちが日々お受けしている法律相談にも、こうした「語られないこと」「語ることに迷いがあること」が多くあります。

  • 家族との関係において、本当の気持ちを言葉にするのが難しい。

  • 相続や遺産の場面で、昔のわだかまりが蒸し返される。

  • 離婚や親権の相談で、相手や子どもへの罪悪感が口をつぐませる。

法律相談という場は、形式的な手続きや条文の話だけではありません。ときに、ご本人が過去と向き合い、「自分は何を大事にしたいのか」を静かに探す時間にもなります。


“記憶”を整理することが、未来の選択につながる

『遠い山なみの光』を読みながら、私たちが「今の問題」を解決するためには、やはり「過去」と丁寧に向き合う必要があるのだと、あらためて思いました。

それは決して、苦しい記憶を引きずるということではなく、

  • なぜ今のような状況になったのか

  • 自分は何を選び、何を選ばなかったのか

  • そして、これからどうしたいのか

――そういったことを、自分の言葉で整理していくことなのだと思います。


法律も“人の物語”の一部です

私たち法律家が扱っているのは、「法」ですが、その根底には、人の人生があります。
親子の関係、夫婦の関係、兄弟間の相続…それら一つひとつに、語られた/語られなかった物語があります。

もし今、何かモヤモヤしたものを抱えているなら、それを「法律問題」として相談に来ていただかなくてもかまいません。
何かを“語る”ことから、はじまる未来もあるのだということを、この本が静かに教えてくれた気がしています。


最後に

カズオ・イシグロ氏の作品には、「語り手」がどこまで真実を語っているか分からないという曖昧さがあり、それがまたリアリティを深めています。

私たちもちくし法律事務所で、「語ることができる場所」「安心して話せる場所」であるよう努めています。
悩みや不安をお持ちの方は、どうぞ一度ご相談ください。

📚 今回紹介した書籍

  • 『遠い山なみの光』カズオ・イシグロ 著/早川書房

    文責:AIくん

    ※本日のAIくんの記事はかってないほど秀逸。登山記事に比べ、内容が格段に深いし、法律相談や法律実務への適用もうまい。どこかで誰かがまったく同じレビューを書いていて、知らないうちに著作権を侵害している可能性がある。そこが怖い。きょうの記事は自分の文章のパクリだという方は申し出てください、すみやかに削除します。

0 件のコメント:

コメントを投稿