2025年8月19日火曜日

『コラテラル 真実の行方』、「新米刑事ヴァンダラー」、街角ピアノ「ベルリン」

 

 お盆の間、山に登らなかったので、テレビやネットフリックスで、たくさんドラマやその他の番組をみた。

 そのなかから、まず『コラテラル 真実の行方』。ネットフリックでみた。ネットフリックスの作品紹介によると「ロンドンで発生したピザ配達人殺害事件の背後に潜む黒い影・・・。ドラッグ売人や密入国業者、スパイたちの思惑が複雑に絡み合う陰謀に一人の刑事が立ち向かう。」

 一人の刑事はキャリー・マリガン演じるグラスピー刑事。キャリー・マリガンはカズオ・イシグロ原作の映画『わたしを放さないで』で主演していた。

 さすが英国ドラマと思ったのは、主役の刑事(本人、同僚、上司)だけでなく、犯人(実行犯、指示者)、被害者(本人、家族)、目撃証人(本人、同性の恋人)、関係者(マスコミ、政治家)など登場人物ひとりひとりが丁寧に描かれていたこと。

 それを通じて、現代イギリス社会そのものも立体的に描かれていた。被害者は移民なのだが、シリアからの政治亡命者なのか、それともイラクからの経済難民なのかでマスコミや社会の色づけが変えられてしまう。

 イギリスも他の欧州諸国と同様、移民を受け入れてきたが、ここにきて政治難民の受入は人道上やむを得ないとしても、英国人の職を奪う経済難民は受け入れがたいという論調である。

 「新米刑事ヴァンダラー」は、ところ変わって北欧はスウェーデンの刑事もの。これもネットフリックスでみた。むかしヘニング・マンケルが書いたクルト・ヴァンダラー刑事を主役とする警察小説を何冊も読んだ。同刑事の新米のころのドラマ。

 移民に関連する残忍な事件に居合わせたクルト・ヴァンダラーは新米刑事に昇進するとともに移民問題で対立する国民感情の大きな騒動へ巻き込まれていく。ここでも背景をなしているのは移民問題だ。

 NHKで駅ピアノ、空港ピアノ、街角ピアノをやっている。大好きな番組でかかさず見ている。どの駅、どの空港、どの街角にも、戦火から逃れてきたウクライナ人、そしてロシア人が登場する。

 お盆休み中だったと思うが、街角ピアノ「ベルリン」をやっていた。メルケルによる積極的な難民受入政策の結果か、ベルリンの人口の25%が外国人らしい。

 しかしここでも排外主義の風潮が顕著なようで、ウクライナから移住してきたミュージシャンの女性が、年々住みにくくなってきたとこぼしていた。

 日本も他人事ではない。難民・移民の受入では欧州に遠くおよばないにもかかわらず、排外主義的な言説を耳にするようになってきた。先の参院選の争点にもなった。失業率が増加するようになれば、不寛容さはさらに高まるだろう。ちなみに日本の完全失業率は2.5%。イギリスの失業率は4.7%、ドイツは6.3%、スウェーデンは8.7%。

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