2008年羅臼岳
お盆をすぎたせいか、今朝は通勤中あるいていても空気が涼しく感じられた。このまま涼しくなっていってくれればよいが、9月いっぱいは残暑が続く予報である。
ことしのお盆は、北アルプスの槍ヶ岳~穂高岳縦走を計画していた。しかし九州地方観測史上最大の大雨に見舞われ中止に。
昔であれば天気の回復をまって出発すればよかった。さいきんは山小屋が完全予約制となり、新幹線のぞみや上高地までのバスも予約が必要となったため、そうもいかなくなってしまった。その他の理由もあって、ことしのお盆は家で過ごすことに。
そうしていたら、14日羅臼岳を下山中にヒグマに襲われたとのニュースが流れた。羅臼岳は北海道の東端、知床半島の付け根の部分にある。標高1661メートル、日本百名山の一つである。
われわれも4人グループで2008年に登頂した。知床半島には400~500頭のヒグマが生息しており、クマ密度が非常に高い。2008年当時もビクビクしながら登ったが、出会うことはなかった。
ヒグマは臆病な動物で自然状態であれば、人を襲うことはないとされる。危険なのは出合い頭でパニックになったときや子グマを守ろうとするとき。出合い頭の事故を減らすため、クマ鈴やラジオで人の存在をあらかじめ知らせてやるとよいとされている。
クマは逃げるものを追う性質があるので、出会ってしまったときに背中をみせて逃げてはいけないとされる。クマの目をみながら、すこしずつ後ろにズリさがらなければならない。
その後、大雪山を縦走する際、3度ほどヒグマに遭遇した。いずれもその気になればこちらを襲うことができたはずだが、襲ってくることはなかった。
大雪山のヒグマも知床のヒグマもおなじヒグマだが、知床のヒグマのほうが危ない。なぜなら、知床のほうがより観光化し、知識の乏しい観光客がヒグマと接する機会が多くなり、ヒグマが人慣れし、人は超おいしいエサを持っている存在であると認識している可能性がたかいから。
ヒグマにエサをやってはいけない。人の食べ物はヒグマにとってとてもおいしく感じられるらしい。そのつもりがなくても、弁当の食べかすなどを放置することやザックごと弁当を盗まれることなどにより、人が超おいしいエサを持つ存在であることを教えることになる。
ま、それも相対的なちがいでしかないかもしれない。大雪山にだって本格的な登山者だけでなく、かぎりなく観光客にちかい登山者もたくさんいるから。
クマのリスクをまったく考えなくてもよいのは九州の山だけだ。九州にはクマがいないとされているから。本州にはツキノワグマがいる。クマのリスクは考えておかなければならない。じつは上高地でさえ、クマの目撃情報は多い。
SNS上の議論をみると、山に入ること自体がいかんなどという極論もみられる。しかし上高地を散策したことがある人であれば、クマに遭遇するリスクゆえ上高地を歩いてはならないとはいわないだろう。道路を歩けば交通事故の危険性があるけれども、道路を歩いてはならないとはならないだろう。
とはいえ、今後はより慎重なリスク判断が求められることになるだろう。
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