ヒサゴ沼避難小屋。2階建て。収容人数30人。奥の建物がトイレ棟。
右手がテント場とヒサゴ沼である。小屋周りには木道があるが、長期間メンテナンスがおこなわれておらず、痛んでいてとても危ない状態である。
ヒサゴ沼はヒサゴ=ひょうたんのような形をしているから。小屋はひょうたんのくびれの位置の手前側に建っている。水場は200メートルほど戻ったところに、雪渓が溶けた小川が流れている。というか、ヒサゴ沼自体が化雲岳方面から流れ来るこの大きな雪渓を水源としている。
トムラウシ山はこの景色の右手のほうに鎮座している。
この日、避難小屋に泊まったのは、1階に7人。うち2組・5人は前日からの連泊組である。1組は夫婦で、1組は男性3人組だった。前日から泊まり、トムラウシ山をピストンしたり、五色岳方面へ行って花を楽しんだようだ。
あと一人は1階すぐ右手に場所を確保した仙人ふうの男性。鼻と顎に白いヒゲをたくわえていた。心のなかで、じぃさんと呼ぶことにした。小屋に着いたときには、すでに1階の大半はこの6人がスリーピングシーツなどをひいて場所を占拠していた。右奥にスペースがあったので、自分はそこを寝床にすることにした。
男性3人組は研究者とおぼしき人たちで自分たちでまとまっていた。うち一人はインシュリンと思われる自己注射をはじめた。そこまでして登山を楽しみたいのかと深く感じ入った。
その後、ニュージーランドからの男女カップル4人組と単独行の若い男性2人が到着した。かれらは2階に寝床を求めた。
ニュージーランドからの4人組は2階に場所を確保すると、沼で水浴したようだ。自分で見たわけではないが、上記夫婦組の夫がそう報告してきた。水着も着けず、男性はフリ○○だったそう。沼は衛生状態もさることながら、雪渓が溶けた水だから水温は相当低いと思われる。日本人には到底できない芸当だ。われわれは風呂に入らぬ生活2~3日目であるから、とてもうらやましく思った。
知ってのとおり、ニュージーランドにはミルホード・トラックなど有名なトレッキングコースがいくつもある。ロード・オブ・ザ・リングのロケ地としても有名だ。わざわざ日本の大雪山まで来なくてもという気もしたが、ニュージーランド人からも一目置かれていると思うと悪い気はしなかった。
夕食は小屋のなかでなく、沼べりととった。すると、先の仙人のようなじぃさんが先客としていた。じぃさんは、このコースは初めてで、こんな美しいところは初めてだと何度も感嘆していた。
話すと名古屋から来たという。福岡からというと、今回の旅で出会った最遠と認定された。年齢は60歳という。なんと自分より年下だった。さいきんのあるあるである。
じぃさんは疲れたので、明日はトムラウシ山に登らないで、天人峡温泉にくだるという。地図をみると、そのコースは道迷いしやすく、ぬかるむので、誰か知っている人といくようにと特筆されていた。大丈夫かと訊くも、大丈夫だろうという返事だった。ほんとうに大丈夫だろうか。
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