2024年8月23日金曜日

大雪山・旭岳~トムラウシ山縦走(9)

 

 白雲岳北面のお花畑からひと登りすると、白雲岳と小泉岳の鞍部に着いた。小泉岳は、岳というより、ご覧のとおり台地である。2グループが散策を楽しんでいた。


 白雲岳と小泉岳の鞍部から南を望むと、ようやく白雲岳避難小屋を見ることができた。写真中央やや右上の丘の上の建物。右手にはテント場も見えている。背後には、明日縦走する予定の忠別岳、化雲岳、トムラウシ山(ややガスがかかっているが)も見えている。

 見てのとおり、小屋は白雲岳から流れきたった雪渓に囲まれている。山小屋立地の条件は水を確保できることである。小屋周りは雪渓の雪解け水が豊富に流れている。ただし、煮沸が必要。このあたりにはキタキツネも多い。キタキツネの排泄物中にはエキノコックスという寄生虫が含まれているからである。


 避難小屋の水場付近にはエゾノリュウキンカがたくさん咲いている。水が好きな植物で湿地に多い。みなさんも実物は見たことがなくても、六花亭の包装紙で見たことはあるだろう。



 ここは大雪山の核心部であり、野生の王国である。小屋周りは水が豊富で高山植物が豊富であるから、エゾシカの兄弟も現れた。ということは・・・


 ヒグマも現れた。単身。目のまわりが黒く、なんだかパンダのようだ。こちらの様子をうかがっている。幸い200メートルは離れている。安全だ。

 昨年は7月上旬に母子のクマが現れたため断念した経緯があった。ことしはそれを慮って、日程を1週間早めたのだが、早くも現れた。

 みなさんはクマが恐ろしいというが、出会い頭の事故を避ければそれほど危険はない。クマも人間が怖い。こちらの存在に気づけば、向こうで避けてくれる。


 ようやく着いた。白雲岳避難小屋である。管理人はいるが、食事の提供はない。自炊である。少なくともクマの襲撃からは守られている。
 
 25人程度泊まれる。ハイシーズンではないはずだが、この日はほぼ満杯だった。よい場所は残っておらず、2階の入口付近をなんとか確保することができた。


 夕食後、憩っていたら、ミヤマアズマギクがやさしく咲いていた。なんという幸せ。

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