2012年11月30日金曜日

みるなのくら





せんじつ福岡市植物園を訪れたら
綿花がワタをつけていた(花は夏)。

あの繊維がいま着ているシャツになるのか
と思うと,ながいながい工程がおもいやられる。

紡績とは,この原料の繊維から
糸の状態にするまでの工程をいう。

「紡」はよりあわせること
「績」は引き伸ばすことである。


明治~大正の発展期,日本の紡績産業は
女性労働者=女工の労働力に大いに依存した。

労働基準法(昭和22年)なき時代のことゆえ
厳しい労働環境だったようである。

『女工哀史』は
克明にそれをルポしている。

中・高校の社会の授業では
だから,これを読めと奨められる。

皮肉なことに
だから,これを読みたくなくなる。

研究者でもないかぎり
このような動機で本書を読む人は少なかろう。


そこを
こういわれたらどうだろう。

友人Aちゃんが頬を紅潮させ
女工萌えを告白した。だとか

おもしろい。たしかにこれはおもしろい!
「よくこんなことを女性から聞きだせたなあ」

というプライベートな部分まで
ちゃんと記してある。

こんなふうにいわれると
読んでみたいという欲求がムクムクする。

アホなことや愚にもつかないことばかりの
われら男子中学生だってそうだろう。


『女工哀史』は読んでもいいけど
男女の性的な記述部分は読まないように。

中学生のボクに社会の先生が
そう話していたら,絶対読んでいたと思う。

いっそのこと中学校では
禁書にしてしまったらどうだろう。

みんなどこからかコピーを仕入れてきて
まわし読みするにちがいない。

やるなといわれると,やりたくなる。
あまのじゃくな人間の性(さが)。


こうなると
『みるなのくら』だね。

「みるな」と、あねさまからかたくいわれた
くらの戸をついにあけてしまった若者は……。

むかしむかしから
若者はそうだったのでした。とさ。

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