2012年9月5日水曜日
『鍵のない夢を見る』,福岡県の弁護士事務所のブログ
辻村深月さんの
『鍵のない夢を見る』(文藝春秋)
直木賞(第147回)受賞作
半歩遅れてよみました。
「仁志野町の泥棒」
「石蕗南地区の放火」
「美弥谷団地の逃亡者」
「芹葉大学の夢と殺人」
「君本家の誘拐」
という,5作の短編集。
「望むことは,
罪ですか?」
「岐路に立つ,
5人の女達」
「恋愛,結婚,出産。
普通の幸せ,ささやかな夢を
叶える鍵を求めて
魔が差す瞬間」
「どうしてだろう,と
歯を食いしばる。
どうしてだろう。
私には,
どうしてこんなものしか,
こんな男しか
寄ってこないのだろう。」
ー「石蕗南地区の放火」より
以上が,オビに書いてあるコピー。
さすがこれだけで,なかみをほぼ言い当てています。
泥棒,放火,逃亡者,殺人,誘拐
いずれも犯罪です。
「望むことは
罪ですか?」
「望むこと」=「夢」
それがなぜか,鍵のない犯罪になってしまう…。
なかで好きだったのは
「仁志野町の泥棒」でしょうか?
たしかに,子ども時代
自分のせまい世界はこんな感じでした。
そこにときどき大人の世界が侵入してくる
それもこんな感じでしたね。
さすが作家さんです。
よくこんな表現ができるもんです。
表題どおり,「鍵のない」×「夢」の話ばかり。
読後感はおもいですね。
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