2010年10月13日水曜日

 独立は裏切りか自由か?



 水嶋ヒロさんが所属事務所を退社。
 ところが今後のことは「藪の中」となっています。
 事務所側は「執筆活動に専念するため」と発表。
 ところが水嶋さん側は俳優業を続ける意向で、他の事務所には所属せず独立して活動するという(「めざましテレビ」等)。

 このような紛争になっている原因としては、水嶋さんの雇用契約のなかに退職後の活動を制約する条項が含まれており、その解釈について見解の相違があることが考えられます。

 これほど有名でなくとも似たような紛争はよくあります。
 美容室を経営して10年になり顧客もついてようやくこれからという時期に、ナンバー2ができるスタッフ数人を引き抜いて独立し顧客も多くを奪われた!受けた被害について損害賠償を請求したいなどと。
 みなさんはどう思われますか?

 従業員が退職した後に競業を禁止するためには、原則として、退職後の競業避止義務を定めた就業規則や特約が必要とされます。
 私も最近、中古自動車販売業をめぐる紛争を経験したところ(経営者側)、そのケースではこのような特約がありました(ま、特約があっても、特約の解釈をめぐって争いにはなるのですが)。

 特約がない場合であっても、なにをやってもいいというわけではありません。
 退職後の競業の態様等のいかんによっては不法行為が成立することがありえます。

 最新の判例集に最高裁の判決事例が紹介されています。
 金属工作機械部品の製造等を業とする会社を退職した従業員が同種の事業を営み、その取引先から継続的に仕事を受注した事案(退職後の競業避止義務に関する特約等の定めなし)。

 判断基準は「自由競争の範囲を逸脱したかどうか」。
 一審が不法行為に当たらないとしたものを二審が不法行為に当たる(逸脱)と判断しましたが、最高裁は不法行為に当たらない(逸脱していない)として再逆転。
 ことほどさように「逸脱したかどうか」の判断は難しい。

 それは背景に重要な問題が横たわっているから。
 日本国憲法22条1項は「何人も、公共の福祉に反しない限り、…職業選択の自由を有する。」と定めています。
 最高裁の判断は憲法の定めるこの自由権を尊重したものといえます。

 水嶋ヒロさんを応援することは、憲法22条の定める職業選択の自由を応援することにも知らず知らずつながっているかもしれないんですね~。

 この問題は奥がふかいのでつづきを書きたいと思います。
                                   to be continued   

2 件のコメント:

  1. シドニー小林2010年10月13日 20:39

    こうした問題は難しいですね。経営者の言い分にも一理あるように思います。

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  2. ところで、貴ブログへの投稿は難しいですね。最近やっと要領が分かってきました。コメントを書いた後でプレビューを押して文字を読み取り、それから「投稿」を押す・・・・
    分からなくて投稿したいのにできない人が大勢いるように思います。

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